新規可塑剤を含むポリ塩化ビニル製バッグによるヒト血小板の保存

〔目的〕現在, 血小板濃厚液(以下PCと略す)はジエチルヘキシルフタレート(DEHP)可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)製バッグに保存されている. しかし, 有効期限の延長, 保存可能な最高血小板数の増加, DEHPの血中への移行の問題の削減などの目的から, さらにガス透過性に優れ, また可塑剤の血中への溶出が少ない材質の開発が求められていた. 最近, 私達は新たにフタル酸エステルである可塑剤ジノルマルデシルフタレート(DnDP)を配合したPVCバッグを開発した. 今回, この材質の特性及び血小板保存用バッグとしての有用性について検討した. 〔方法〕アフェレーシス血小板採取装置PCS(ヘモネティク...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1988, Vol.34 (2), p.238-238
Hauptverfasser: 田村容子, 高良真一, 纐纈桂子, 清水哲夫, 後藤鉦二, 神谷忠
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔目的〕現在, 血小板濃厚液(以下PCと略す)はジエチルヘキシルフタレート(DEHP)可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)製バッグに保存されている. しかし, 有効期限の延長, 保存可能な最高血小板数の増加, DEHPの血中への移行の問題の削減などの目的から, さらにガス透過性に優れ, また可塑剤の血中への溶出が少ない材質の開発が求められていた. 最近, 私達は新たにフタル酸エステルである可塑剤ジノルマルデシルフタレート(DnDP)を配合したPVCバッグを開発した. 今回, この材質の特性及び血小板保存用バッグとしての有用性について検討した. 〔方法〕アフェレーシス血小板採取装置PCS(ヘモネティクス社)によりアフェレーシスPCを採取, 調製し, 1リットルサイズのバッグで5日間, 22℃振盪保存した. 保存用バッグの材質はPVC/DEHP及びPVC/DnDPを使用した. 〔成績〕DnDPバッグに保存した血小板及び血漿へのDnDP溶出量は極少量であった. DnDP自体の安全性の指標となる急性毒性試験の結果はDEHPに比べ良好であり, 変異原性試験においても異常は認められなかった. シートの強度も従来のものと同程度であった. ガス透過性はDEHPバッグに比べ, O_2 ガス1.6倍, CO_2 ガス2倍と高値を示した. 保存PC中の酸素分圧(PO_2 )は従来より高く維持されており, 二酸化炭素分圧(PCO_2 )は低値であった. pHは総血小板数1.8×10^11 個のPCを保存した場合でも5日後に7.0以上であった. 凝集能は, ADP, CollagenともDEHPバッグより良好であった. また%HSRも高値を示した. 血小板形態は, 多くのものが活性型となっていた. 〔結論〕以上より, 新可塑剤DnDPを含むPVCバッグは, 血小板保存用として従来のPVC/DEHPバッグより優れており, その有用性は高いと考えられる.
ISSN:0546-1448