遺伝子組換えヒトエリスロポエチンの外科手術時出血に対する応用の可能性
エリスロポエチン(EPO)は, 赤血球系細胞の産生を一次的に調節する造血因子であり, 生体内における循環赤血球量の調節維持に重要な役割を果たしている1). 近年, 天然型EPOと同様の性状を有する純化した遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(r-HuEPO)2)の大量生産が可能となり, 臨床応用への道が開かれた. EPOのヒトにおける主たる産生部位は腎臓3)~5)であることから臨床上, 慢性腎不全に伴う貧血に対する治療効果が期待され, 現在, 腎性貧血の患者を対象にしてその有効性と安全性が臨床治験によって確認されつつある6)~8). この他の臨床応用としては, 癌や慢性関節リウマチなどの各種疾患に...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1988, Vol.34(1), pp.11-15 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | エリスロポエチン(EPO)は, 赤血球系細胞の産生を一次的に調節する造血因子であり, 生体内における循環赤血球量の調節維持に重要な役割を果たしている1). 近年, 天然型EPOと同様の性状を有する純化した遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(r-HuEPO)2)の大量生産が可能となり, 臨床応用への道が開かれた. EPOのヒトにおける主たる産生部位は腎臓3)~5)であることから臨床上, 慢性腎不全に伴う貧血に対する治療効果が期待され, 現在, 腎性貧血の患者を対象にしてその有効性と安全性が臨床治験によって確認されつつある6)~8). この他の臨床応用としては, 癌や慢性関節リウマチなどの各種疾患に合併する貧血の改善, 及び, 外科手術時の貧血に対する予防並びに治療が考えられている. 本論文では, 従来, 輸血に依存していた外科手術時の出血による貧血の予防並びに治療にr-HuEPOの応用が可能か否かについて, ラットを用いた瀉血実験で検討したので報告する. 実験材料及び実験方法 1. 実験材料 1)使用動物 SD系雄性ラット(静岡県実験動物農業協同組合)を入荷後, 約2週間, 動物室(温度22+1℃, 湿度55±5%)で予備飼育し, その後, 1群6匹として実験に供した. 試験開始時の体重は約350gであった. 2)r-HuEPO被検溶液の調製 実験に使用したr-HuEPOは分子量約3万6千(SDS-PAGE法)の糖蛋白で, ヒト胎児肝由来のEPO遺伝子を導入したChinese hamster ovary(CHO)細胞の大量培養液より純化した2). 被検溶液は0.25%ヒト血清アルブミン, 100mM塩化ナトリウムを含む20mMクエン酸緩衝液(pH7.0)を媒体として, 100~2,000U/ml(RIA値)の各種濃度に調製し, 1ml/kgの容量でラットに投与した. |
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ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
DOI: | 10.3925/jjtc1958.34.11 |