Jka自己抗体 (IgG1) が検出されたAIHAの1症例
Jka (Kidd a)抗体は, 1951年Allenら1)が報告して以来, 多数の検出例が, いずれも血液型不適合輸血や不適合妊娠を契機に発見されており, 自己抗体としての報告は極めて少ない. 我々は自己免疫性溶血性貧血(AIHA)患者の血球解離液中に, Jka 特異性を有する自己抗体を検出したので報告する. 症例 T.K.42歳, 女性, 妊娠歴は2回あり, いずれも正常分娩であった. 既往歴としては昭和54年に子宮筋腫(術後閉経), 現病歴は58年近医にて糖尿病を指摘され, 食事療法で経過観察中であり, 60年4月16日, 胆石手術のため本院外科に入院. 入院時まで輸血の既往はない. 入...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1987, Vol.33(5), pp.532-534 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Jka (Kidd a)抗体は, 1951年Allenら1)が報告して以来, 多数の検出例が, いずれも血液型不適合輸血や不適合妊娠を契機に発見されており, 自己抗体としての報告は極めて少ない. 我々は自己免疫性溶血性貧血(AIHA)患者の血球解離液中に, Jka 特異性を有する自己抗体を検出したので報告する. 症例 T.K.42歳, 女性, 妊娠歴は2回あり, いずれも正常分娩であった. 既往歴としては昭和54年に子宮筋腫(術後閉経), 現病歴は58年近医にて糖尿病を指摘され, 食事療法で経過観察中であり, 60年4月16日, 胆石手術のため本院外科に入院. 入院時まで輸血の既往はない. 入院時の検査所見(Table 1)で, 赤血球184万/μl, Hb 8.1g/dlと中等度の貧血を認め, さらに貧血が進行したため, 5月17日内科に転科となった. 転科当日の検査所見では, 赤血球87万/μl, Hb4.1g/dlと高度の貧血を示し, かつ直接抗グロブリン試験(DAGT)および間接抗グロブリン試験(IDAGT)が共に陽性のため, AIHAと診断された. 即日predonine 100mg/dayの投与開始, 3日後には, 赤血球が132万/μl, Hb6.1g/dlと増加し, 症状の改善がみられ, IDAGTも陰性化したが, DAGTは陽性のままであった. 患者血清中にはIgM型の抗I, 抗Sおよびanti-IgGを用いたIDAGTで, panagglutininの性質を示す抗体が存在した. 抗S抗体は, 患者がSs typeであり, 子供がSs type(Table 2)のため, 妊娠を契機に産生された可能性が高い. |
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ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
DOI: | 10.3925/jjtc1958.33.532 |