GVHD様症状を呈し死亡した極小未熟児の5例
新生児未熟児医療では頻回の輸血を必要とすることが多く, 当院NICUでは昭和56年6月開院以来, 新生児に対して主にsingle walking donor(SWD)から輸血を行なってきた. この期間中の昭和59年12月より61年3月までの16ヵ月間にGVHDが疑われ死亡していった極小未熟児5例(男児1例, 女児4例)を経験し, 臨床的・病理組織学的に解析・検討した. 症例:5症例の在胎期間・出生体重は26週~30週, 790g~1,486gであった. 全例発疹を認めたが, 発疹出現時を発症とみなした場合の発症時期は第20~160生日(胎齢33週~49週)であった. 黄疸は著明ではなかったが肝...
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Zusammenfassung: | 新生児未熟児医療では頻回の輸血を必要とすることが多く, 当院NICUでは昭和56年6月開院以来, 新生児に対して主にsingle walking donor(SWD)から輸血を行なってきた. この期間中の昭和59年12月より61年3月までの16ヵ月間にGVHDが疑われ死亡していった極小未熟児5例(男児1例, 女児4例)を経験し, 臨床的・病理組織学的に解析・検討した. 症例:5症例の在胎期間・出生体重は26週~30週, 790g~1,486gであった. 全例発疹を認めたが, 発疹出現時を発症とみなした場合の発症時期は第20~160生日(胎齢33週~49週)であった. 黄疸は著明ではなかったが肝機能障害(血清GOT・GPT値上昇)や腹部膨満・嘔吐などの消化器症状と筋硬直・活動性低下や髄液蛋白量増加など脳神経症状が著明であった. 皮疹は紅斑→紅皮症→剥脱と変化し女児4例では著しい骨髄障害を合併し, pancytopeniaに陥り皮疹出現後10~12日で死亡した. また発疹出現以前から胸部X線上間質・胸膜の変化をともなった肺炎像が認められた. このような経過からHIV, ATLA, HSVなどを中心にウイルス学的検索を行なったがいずれも有意な成績は得られなかった. 病理学的には, 皮膚では上皮の脱落と線維組織の増生は著明であったが, Satellite cell neerosisは認められなかった. 骨髄では巨核球以外の造血細胞は消失し, 赤血球を貪食した組織球がごくわずかに認められた. 胸腺は著明に萎縮しリンパ球は著減していた. Lymphoid chimerismやHLA typingによるgraftの証明はなされなかったが, 病理組織学的にはGVHOの可能性が強いと考えられた. 5症例はいずれも父親をSWDとして7~28回, 総計116ml~838mlの輸血が施行されていた. 初回あるいは最終輸血から発症までの期間は一定していなかったが, GVHDの治療はきわめて困難であるため, GVHDの防止策として極小未熟児の輸血に際しては放射線照射血液の使用が望ましい. |
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ISSN: | 0546-1448 |