肝炎ウイルス感染, B型肝炎

近年血液製剤のHBs抗原検索のルーチン化およびHBs抗原検査感度の鋭敏化により, 輸血後肝炎に占めるB型肝炎の割合は低下しつつあり, 本邦では5%未満とする報告が多い. しかし輸血後B型肝炎は根絶されたわけではなく, 散発的に本症の発生が経験される. 今回本シンポジウムを機会に最近の輸血後B型肝炎の特徴とその発生原因について検索し, 若干の知見を得たので報告する. I. 対象と方法 a. 輸血後B型肝炎6症例の臨床的検討 輸血前のHBs抗原が陰性で, 輸血2週以降に肝障害の発現をみ, IgM型HBc抗体が陽性であった6症例について, その臨床像, HBV関連マーカー, 肝組織像について検討した...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1987-05, Vol.33 (3), p.282-285
Hauptverfasser: 井上恭一, 紺田健彦, 高嶋清次, 古谷田裕久, 桑原芳弘, 舟木淳, 南部修二, 松井俊二郎, 小島隆, 佐々木博, 清水達夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年血液製剤のHBs抗原検索のルーチン化およびHBs抗原検査感度の鋭敏化により, 輸血後肝炎に占めるB型肝炎の割合は低下しつつあり, 本邦では5%未満とする報告が多い. しかし輸血後B型肝炎は根絶されたわけではなく, 散発的に本症の発生が経験される. 今回本シンポジウムを機会に最近の輸血後B型肝炎の特徴とその発生原因について検索し, 若干の知見を得たので報告する. I. 対象と方法 a. 輸血後B型肝炎6症例の臨床的検討 輸血前のHBs抗原が陰性で, 輸血2週以降に肝障害の発現をみ, IgM型HBc抗体が陽性であった6症例について, その臨床像, HBV関連マーカー, 肝組織像について検討した. b. HBs抗原陰性(RPHA法)のHBVキャリアの検討 さきの輸血後B型肝炎6症例の内1例についてその供血者を再検し, 供血者4名の中で1名がHBs抗原がRPHA法で陰性にかかわらず, RIA法で陽性であったので, 本供血者に肝生検を施行し, 肝組織像を検討するとともに肝組織内のHBs抗原およびHBc抗原を酵素抗体法により検索した. さらに輸血とは無関係であるが, HBs抗原がRPHA法で陰性のHBVキャリアについても, さきの供血者と同様の検索を行った. c. 血液センター血のHBV関連マーカーの検索 血液センター血のパイロットチューブ416検体についてHBs抗原, 抗体, HBc抗体, HBe抗原抗体をRIA法で検索した. HBc抗体陽性血は200倍稀釈により再検した.
ISSN:0546-1448