膜分離法による供血者プラスマフェレーシスの安全性に関する凝血学的検討

目的:現在膜分離法によるプラスマフェレーシスが推進されつつあるが, その際採漿時の安全性と採取血漿の完全性が保証されねばならない. 今回我々は血小板, 凝固線溶系の活動の鋭敏な指標である凝血学的分子マーカーを用い, 供血プラスマフェレーシスの安全性を検討した. 方法:1. プラスマフェレーシスは健康成人を対象とし, 4種類の血漿分離膜について連続的血流方式あるいは間欠的血流方式で行った. 採取血漿量はいずれも400-500mlでフェレーシス施行中の諸時点で採血して検体とした. 2. フィブリノペプタイドA(FPA)はAsserachrome FPA(Behringer), Bβ_15-42 は...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1987, Vol.33 (2), p.215-215
Hauptverfasser: 森岡真知子, 風間睦美, 安部英, 照屋純, 梅嶋朱美, 千葉真一郎, 島津千里, 平石さゆり
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:現在膜分離法によるプラスマフェレーシスが推進されつつあるが, その際採漿時の安全性と採取血漿の完全性が保証されねばならない. 今回我々は血小板, 凝固線溶系の活動の鋭敏な指標である凝血学的分子マーカーを用い, 供血プラスマフェレーシスの安全性を検討した. 方法:1. プラスマフェレーシスは健康成人を対象とし, 4種類の血漿分離膜について連続的血流方式あるいは間欠的血流方式で行った. 採取血漿量はいずれも400-500mlでフェレーシス施行中の諸時点で採血して検体とした. 2. フィブリノペプタイドA(FPA)はAsserachrome FPA(Behringer), Bβ_15-42 はBβ RIA Kit(IMCO), β-TGはβ-TG RIA PACK(Amersham), PF4はPF4 RIA Kit(Dinabot)を用いて測定した. TXB_2 はSEP-PAK(Waters)を用いて血漿より抽出した後, TXB_2 RIA Kit(NEN)で測定した. 成績:1. フィブリノゲン, 第VIII因子, 第IX因子, 第XIII因子, プラスミノゲン, α2P1およびATIIIはいずれも前値に比し100ml採漿時, 終了直後でやや減少したが, 終了24時間後には回復する傾向が認められた. 2. 可溶性フィブリン体複合体の増加する例が数例に見られた. 3. 血小板分子マーカーのうちβ-TGはフェレーシス施行中増加する傾向にあったが終了24時間後にはほぼ前幅に回復し, TXB_2 は前幅に比し終了直後でやや増加していた. 4. FPAおよびBβ_15-42 は100ml採漿時と終了直後で増加している例が多かったがいずれも24時間後には前幅に回復した. 5. 血漿分離膜通過前後を比較すると, β-TGがやや増加する傾向が見られた. 結論:健康な供血者のプラスマフェレーシス中にBβ_15-42 フラグメント, FPAおよびβ-TGは有意の増加を示す場合があり, 他のマーカーも増加する傾向が認められたが有意ではなかった. この成績から膜分離法によるプラスマフェレーシスに際し, 供血者の止血機能が障害される程の凝血学的変化は起らないと判定された.
ISSN:0546-1448