輸血後非A非B型肝炎マーカーとしてのS-GPTの検討
I. 目的:輸血後肝炎のうち, B型肝炎は供血時のHBs抗原スクリーニング開始以来極めて少くなり, 最近では輸血例中の0.6%以下となった. しかし, 起炎ウイルス並びにそのウイルスマーカーがまだ確立されずに, 一括して非A非B型肝炎と呼ばれる残された輸血後肝炎は一向に減らず, 輸血例中の20%前後にも及ぶ. 現段階で肝炎発症を抑える可能性のあるウイルスマーカー以外のものとして, 数年来供血のグアナーゼが検討されてきたが, より普遍的な生化学検査としてのGPTについて調べてみた. II. 方法:当病院で使う輸血は, 約3分の2が東京都赤十字血液センター, 3分の1が八王子赤十字血液センターから...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1987, Vol.33 (2), p.180-180 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | I. 目的:輸血後肝炎のうち, B型肝炎は供血時のHBs抗原スクリーニング開始以来極めて少くなり, 最近では輸血例中の0.6%以下となった. しかし, 起炎ウイルス並びにそのウイルスマーカーがまだ確立されずに, 一括して非A非B型肝炎と呼ばれる残された輸血後肝炎は一向に減らず, 輸血例中の20%前後にも及ぶ. 現段階で肝炎発症を抑える可能性のあるウイルスマーカー以外のものとして, 数年来供血のグアナーゼが検討されてきたが, より普遍的な生化学検査としてのGPTについて調べてみた. II. 方法:当病院で使う輸血は, 約3分の2が東京都赤十字血液センター, 3分の1が八王子赤十字血液センターから供給され, 院内採血その他はごく一部分である. これらセンターと共同して, 当病院使用の血液製剤の献血時のS-GPT値を調べ, 個々の患者に用いられた幾単位かの製剤のGPTが最高どの範囲に及ぶかによって, 現在のスクリーニング合格0~35K. U. を5K. U. 毎の7グループに分け, 各群毎に肝炎発症率を調べた. また, これと別に国内5個所の血液センターに依頼して, 献血のS-GPT及びGOTの分布を調査し, 更に当病院を含む3個所の国立療養所の外来・入院患者のトランスアミナーゼと, 職員健康診断時のそれを以て, 正常域の検討を行った. III. 成績及び結論:当病院の輸血後肝炎例は, その47%がGPT20K. U. をこえた献血使用群に(24%が25K. U. をこえた群に)あり, 八王子赤十字血液センター管内医療機関の同様の検討では79%(50%)という. 長崎赤十字血液センターの心臓外科患者では76%を占め, またここでは20K. U. 以下の製剤のみを使用した所, 肝炎発症が22%から8%に落ちたと聞いている. 献血のGPTはその90%以上が20K. U. 以下であり, スクリーニングとしてのGPTの合格基準値は20或いは22K. U. 以下, 緩くみても25K. U. 以下とすることが望ましい. |
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ISSN: | 0546-1448 |