免疫グロブリン製剤投与後, Rho陰性患者に検出された抗D抗体について

今回, 妊娠歴, 輸血歴のある45歳のRho陰性の女性の血清中に, 抗D抗体を含む静注用免疫グロブリン製剤の投与によると思われる抗D抗体を検出したので報告する. 患者は妊娠9回のうち分娩3回で6回は人工中絶をしている. 分娩及び中絶期におけるRh免疫グロブリン投与の有無は不明である. 血液型はO, ccddEe, Le(a-b-), MNss, kk, P_1 , Fy(a+b-), Jk(a+b-), Xg(a+)で, 昭和59年に子宮頚部腫瘍で手術を受けている. 当時の輸血検査で異常は認められず, O型Rho(-)の保存血13単位が術中に輸血された. この手術以前の病歴に特記すべきことはな...

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Hauptverfasser: 岩谷ユリ子, 宮岡左知子, 長谷川千代子, 柿田章, 内野純一, 関敏雄
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:今回, 妊娠歴, 輸血歴のある45歳のRho陰性の女性の血清中に, 抗D抗体を含む静注用免疫グロブリン製剤の投与によると思われる抗D抗体を検出したので報告する. 患者は妊娠9回のうち分娩3回で6回は人工中絶をしている. 分娩及び中絶期におけるRh免疫グロブリン投与の有無は不明である. 血液型はO, ccddEe, Le(a-b-), MNss, kk, P_1 , Fy(a+b-), Jk(a+b-), Xg(a+)で, 昭和59年に子宮頚部腫瘍で手術を受けている. 当時の輸血検査で異常は認められず, O型Rho(-)の保存血13単位が術中に輸血された. この手術以前の病歴に特記すべきことはない. 昭和60年3月, 手術のため再入院, O型Rho(-)のCRC6単位及びFFP6単位が申し込まれたが, 抗体スクリーニング, 交差試験共にOKであった. その後4月24日から6月10日にかけてCRC, FFP, WBが各々6, 2, 4単位輸血されたが, いずれも検査時に異常はなかった. 6月14日, CRC3単位が申し込まれ, 検査の結果, 交差試験は異常なかったが, 抗体スクリーニングで37℃ブロメリン法, アルブミン法, クームス法で(+)程度の反応をみとめたのでOrtho社のPanel Cellにて同定したところ抗D抗体が検出された. 抗体価はブロメリン法で8倍, クームス法で4倍であった. この患者は当時O型Rho(-)の血液製剤の他に免疫グロブリン製剤の投与を受けていたので, その免疫グロブリンについて抗D抗体の有無を調べたところ, 室温の生食法で使用原液の50mg/mlに, 又アルブミン法では12.5mg/ml, クームス法では約3mg/mlまで抗D活性を認めた. 患者は6月12日から3日間5g/日ずつこの免疫グロブリンを静注されている. 患者血清中の抗D抗体は生食法, アルブミン法では2週間後に検出不能となったが, クームス法では4週目まで, ブロメリン法では5週目まで, 弱い抗D活性を認めた.
ISSN:0546-1448