安定化ヘモグロビンの調製と薬理学的性質
研究の目的;本研究は厚生省研究班(松橋直班長)の「血液の有効利用のための研究」の一環として, 日赤より研究班に供与の有効期限切れ赤血球を用い, 長期保存が可能で血液型に左右されない赤血球代替物を得ることをめざしている. 安定化ヘモグロビンの調製法;洗浄赤血球を注射用蒸留水で溶血し, 膜成分を除去してストローマフリーヘモグロビンとし, これをピリドキサール-5-リン酸, NaBH_4 と反応させ, ピリドキサール化ヘモグロビンを得た. 一方, ポリエチレングリコールを酸化して得た両末端にカルボキシル基を有するポリオキシエチレンを, N-ヒドロキシコハク酸イミドと反応させ, 活性エステル(活性PE...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1986, Vol.32 (2), p.314-314 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 研究の目的;本研究は厚生省研究班(松橋直班長)の「血液の有効利用のための研究」の一環として, 日赤より研究班に供与の有効期限切れ赤血球を用い, 長期保存が可能で血液型に左右されない赤血球代替物を得ることをめざしている. 安定化ヘモグロビンの調製法;洗浄赤血球を注射用蒸留水で溶血し, 膜成分を除去してストローマフリーヘモグロビンとし, これをピリドキサール-5-リン酸, NaBH_4 と反応させ, ピリドキサール化ヘモグロビンを得た. 一方, ポリエチレングリコールを酸化して得た両末端にカルボキシル基を有するポリオキシエチレンを, N-ヒドロキシコハク酸イミドと反応させ, 活性エステル(活性PEG)とした. 安定化ヘモグロビンは, ピリドキサール化ヘモグロビンと活性化PEGを反応させ, これを限外濾過膜で未反応物質を除去精製することにより得た. 物理化学的性質;物理化学的性質および薬理学的検討は, 安定化ヘモグロビン6%溶液を用いて行なった. 粘度, 膠質浸透圧は, ヒト全血の正常値とほぼ同等であり, 酸素解離曲線はP_50 値として約22mmHgであった. また, メトヘモグロビン含量は10%以下であった. 薬理学的検討;酸素運搬能をラット90%交換輸血法で検討した結果, 全例に24時間以上の生存が認められ, 充分な酸素運搬能を有することが示された. 生物学的半減期はラットを60%交換輸血後, 経時的に採血して血漿中のヘモグロビン濃度をシアンメトヘモグロビン法で測定した結果, 約18時間であった. 回復試験はラットを60%交換輸血後, 経日的に採血, 剖検し, 血液生化学的および組織学的に検索した. 安定化ヘモグロビン群は回復が早く, 生化学および組織所見に異常は認められなかった. 凝固系に対する影響はラット血漿に一定割合の安定化ヘモグロビンを混合し, PT, APTTおよびTTを測定した. 安定化ヘモグロビン混合によるこれらパラメータ時間に異常は認められなかった. |
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ISSN: | 0546-1448 |