新潟地区におけるATLA抗体検査の成績
I目的:日本人とくに九州地区はATL患者が多く, ATLA抗体陽性の血液を輸血後, 受血者の多くに抗体が陽転する事からATLA抗体の検出が重要視されている. 今回, 非流行地と思われる新潟地区の献血用検体および当院の患者検体につき検査を施行し, 検出の意義について検討した. II方法:検出法にはEIA法(エーザイ)ゼラチン凝集法(富士レビオ)を用いた. 供血者, 佐渡地区, 柏崎地区および新潟大輸血部の合計213例, 新潟大中検血清に提出された, 抗核抗体陽性検体85例, 陰性検体74例, ATL患者2例, CRP又はRA陽性検体70例を検体とした. III成績と考察:(1)2つの検出法のいず...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1986, Vol.32 (2), p.281-281 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | I目的:日本人とくに九州地区はATL患者が多く, ATLA抗体陽性の血液を輸血後, 受血者の多くに抗体が陽転する事からATLA抗体の検出が重要視されている. 今回, 非流行地と思われる新潟地区の献血用検体および当院の患者検体につき検査を施行し, 検出の意義について検討した. II方法:検出法にはEIA法(エーザイ)ゼラチン凝集法(富士レビオ)を用いた. 供血者, 佐渡地区, 柏崎地区および新潟大輸血部の合計213例, 新潟大中検血清に提出された, 抗核抗体陽性検体85例, 陰性検体74例, ATL患者2例, CRP又はRA陽性検体70例を検体とした. III成績と考察:(1)2つの検出法のいずれにおいても供血者の血清は全例陰性であった. しかし患者すなわち抗核抗体陽性85例中1例, 抗核抗体陰性74例中3例, ATL患者2例中2例は両検出法でいずれも陽性を示した. ATL抗体陽性6例中2例には輸血歴があった. (2)抗核抗体陽性, 陰性検体の各例はEIA法でのみ陽性と判定され, 他の1例はゼラチン凝集法で未感作, 感作試薬共に凝集を示し判定不能であった. (3)ゼラチン凝集はスクリーニング法として実施しやすいが陽性者について確認テストがない点に不満が残った. (4)EIA法はゼラチン凝集法に比べて操作が繁雑であるが, 確認テストも出来るので比特異反応の除外に有用であった. (5)EIA法でスクリーニング陽性, しかし確認テスト陰性, ゼラチン凝集法ともに陰性と判定された検体は抗核抗体陽性検体85例中3例であり, EIA法の実施には確認テストを施行する必要があると考えた. (6)今後両検出法の判定不一致の検体について蛍光抗体法により検討する予定である. IV結論:非多発地域とされる新潟地区でも, ATLと診断された患者以外の検体中に, ATLA抗体陽性者を認めた. このことは日常検査におけるATLウイルスの感染防止対策の確立の重要性を示唆している. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |