血小板輸血患者での血小板抗体の推移と適合血小板輸血の検討
I. 目的:血小板同種抗体を産生して血小板輸血効果のみられなくなった患者に対してHLA適合血小板輸血を行うために同種抗体を検出し, その経時的推移と血小板輸血効果を検討した. II. 方法:最近の1年6カ月間に血小板を含む輸血を行った122名の患者血清436検体について, 10人のO型リンパ球と血小板をパネル抗原として用いたAHG-LCT, LCT, MPHAにより血小板同種抗体の検査および供受血者間のクロスマッチを行った. III. 成績:122名の血小板輸血患者のAHG-LCT, LCTおよびMPHAの陽性数(率)は, それぞれ56名(45.9%), 37名(30.3%), 25名(20....
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1986, Vol.32 (2), p.245-245 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | I. 目的:血小板同種抗体を産生して血小板輸血効果のみられなくなった患者に対してHLA適合血小板輸血を行うために同種抗体を検出し, その経時的推移と血小板輸血効果を検討した. II. 方法:最近の1年6カ月間に血小板を含む輸血を行った122名の患者血清436検体について, 10人のO型リンパ球と血小板をパネル抗原として用いたAHG-LCT, LCT, MPHAにより血小板同種抗体の検査および供受血者間のクロスマッチを行った. III. 成績:122名の血小板輸血患者のAHG-LCT, LCTおよびMPHAの陽性数(率)は, それぞれ56名(45.9%), 37名(30.3%), 25名(20.5%)であった. また疾患別抗体陽性率は再生不良性貧血, ITP, 白血病で高く, 心臓血管系の疾患では低かった. 三法による抗体陽性率は輸血回数を重ねる毎に高くなり, 10回から15回までの輸血によってAHG-LCT約40%, LCT約30%, MPHA約20%で横ばいとなり, 26回以上の輸血になると急激な陽性率の上昇がみられた. また一方では15回以上の輸血を行った抗体陽性症例の中で, 抗体が検出できなくなるものもあり, AHG-LCT陽性16名中9名(56%), LCT陽性13名中7名(54%), MPHA陽性の10名中6名(60%)が陰性化した. IV. 結論:血小板輸血患者では, 一般に輸血回数が多くなると抗体陽性率は高くなるが, 一方では輸血回数が15回を越えると抗体が検出されなくなる例が54~60%存在した. このことは輸血による免疫抑制効果とも考えられるが, その原因は明らかではない. 抗体が陰性化した時点ではHLA適合血小板でなくてもある程度血小板板数の上昇が期待できた. 今后さらに長期間にわたって経過中の抗体の消長を検討するとともに, 血小板輸血患者の同種抗体スクリーニングや血小板のクロスマッチを行うことが輸血効果を高めるために, 必要であると考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |