凍結保存による自家血輸血の検討
I 目的:輸血の副作用, とりわけ輸血後肝炎, AIDS, ATL等, 輸血感染症の予防, また最近は輸血の免疫抑制作用も論ぜられるにいたり, 最も安全な輸血法として自家血輸血が注目されている. 自家血輸血には, 各種の方法があるがなかでも緊急を要さない手術に対し, 計画的に採血, 貯血が出来, 術直前の循環動態等, 全身状態に影響をおよぼすことのない凍結保存による自家血輸血の適応と安全性を確立させることを目的とした. II 方法:全身状態が比較的良好で, 計画的手術が行える変形性股関節症および脊柱側弯症の症例に対して実施した. 採血は全て外来通院で行われ, 採血量は通常400mlを1単位とし...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1986, Vol.32 (2), p.218-218 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | I 目的:輸血の副作用, とりわけ輸血後肝炎, AIDS, ATL等, 輸血感染症の予防, また最近は輸血の免疫抑制作用も論ぜられるにいたり, 最も安全な輸血法として自家血輸血が注目されている. 自家血輸血には, 各種の方法があるがなかでも緊急を要さない手術に対し, 計画的に採血, 貯血が出来, 術直前の循環動態等, 全身状態に影響をおよぼすことのない凍結保存による自家血輸血の適応と安全性を確立させることを目的とした. II 方法:全身状態が比較的良好で, 計画的手術が行える変形性股関節症および脊柱側弯症の症例に対して実施した. 採血は全て外来通院で行われ, 採血量は通常400mlを1単位として, これを3~4週の間隔をおいて採取する. 総貯血量は1200~1600mlであるが, 必要に応じて増減することは容易である. 採取した血液は血球成分と血漿成分とに分離し, それぞれを-85℃, -40℃で凍結保存する. 使用に際しては, これを40℃の温水で解凍, 使用する. III 成績:これまでに本法を目的として採血し, 凍結保存を行った症例は120例以上である. これらの内, すでに手術が施行された症例は, 変形性股関節症患者で58例, 脊柱側弯症患者で30例で, 合計88例である. 変形性股関節症の患者の年令は25才~76才(平均50.6才), 体重は36~78kg(平均52.5kg)・総貯血量は400~2000ml(平均1240ml)であった. 脊柱側弯症の患者では, 年令は11~25才(平均14.7才), 体重31~60kg(平均47.3kg), 総貯血量は400~1600ml(平均1086ml)であった. 多くの症例は自家血のみで補えたが, 他家保存血の使用を余儀なくされたものが数例あった. この内1例はこれが原因と思われる肝炎に罹肝したが数力月後には正常に復している. IV 結論:自家血のみで補えた症例について術中, 術後の輸血が原因と考えられる合併症は皆無であり, 本法による輸血法は極めて有用であると考える. |
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ISSN: | 0546-1448 |