抗I特異性を示したDonath-Landsteiner抗体と思われる1症例
当院にて, 非梅毒性の発作性寒冷血色素尿症(PCH)を経験したが, 本例の自己抗体であるDonath-Land-steiner抗体(以下D-L抗体)が, IgMに属すると思われ, かつ血液型特異性が抗P特異性を示さないことなど, 極めて稀な症例と考え報告する. 症例:患者は, 75歳の男性で輸血歴はなく労作時の動悸, 胸痛を訴え, 昭和59年3月24日入院. 検査成績では, 大球性正色素性の高度の貧血を認め, 著明な血小板の減少, LDH, 総ビリルビン, IgMの増加, CH_50 , C_3 cの低下, 梅毒反応(-), 寒冷凝集素価32倍, I.Coombs試験(-), D.Coombs...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1985, Vol.31 (4), p.364-364 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 当院にて, 非梅毒性の発作性寒冷血色素尿症(PCH)を経験したが, 本例の自己抗体であるDonath-Land-steiner抗体(以下D-L抗体)が, IgMに属すると思われ, かつ血液型特異性が抗P特異性を示さないことなど, 極めて稀な症例と考え報告する. 症例:患者は, 75歳の男性で輸血歴はなく労作時の動悸, 胸痛を訴え, 昭和59年3月24日入院. 検査成績では, 大球性正色素性の高度の貧血を認め, 著明な血小板の減少, LDH, 総ビリルビン, IgMの増加, CH_50 , C_3 cの低下, 梅毒反応(-), 寒冷凝集素価32倍, I.Coombs試験(-), D.Coombs試験(+), D-L反応(+)(抗体価16倍), Ham試験(-), Suger-Water試験(-), 抗血小板抗体(+)であった. 免疫Igクラスの検索:4℃におけるD.Coombs試験を行い抗IgG血清ではほとんど凝集はなく, 2ME処理血清によるD-L反応陰性. 血液型検索:P_1 , P_2 , p, 臍帯血を用いたD-L反応で, pの血球と最も強く. P_1 の臍帯血と最も弱く反応した. HI型物質で中和するとすべての血球で陰性. 又, P_1 型物質処理血清で4℃における各血球との凝集の強さは臍帯血で(-), 他は差がなかった. 考察:本例のD-L抗体は. 2ME処理血清でのD-L反応陰性及び, 冷式D. Coombs試験の結果よりIgMに属すると考えられた. 血液型特異性は, pの血球と最も強く, P_1 の臍帯血と最も弱く反応し, HI型物質で中和されたことより抗I特異性が強く示唆された. また, 本症例は, 著明な血小板減少症を合併してEvans症候群を呈した. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |