HLA適合者より得たフェレーシス血小板が有効であった再生不良性貧血の1例
血小板輸血は, 血少板減少に基づく出血に対する有効な補充療法として繁用されているが, 頻回輸血に伴う同種抗体の産生は, 輸血効果の減弱としての臨床的不利益のみならず, 輸血学の面でも大きな問題となっている. 最近われわれは, 頻回の血小板輸血に伴う抗体産生によって, 輸血に不応状態となった再生不良性貧血症例に対して, HLA部分適合者から得たフェレーシス血小板輸血を行った所, 有効な血小板数の増加と出血症状の改善を認めたので報告する. 症例は14歳, 男子. 昭和58年9月歯肉出血, 発熱などで発症. 某医にて汎血球減少を指摘され, 9月18日当科入院. 入院時末梢血で, 赤血球数270万,...
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Zusammenfassung: | 血小板輸血は, 血少板減少に基づく出血に対する有効な補充療法として繁用されているが, 頻回輸血に伴う同種抗体の産生は, 輸血効果の減弱としての臨床的不利益のみならず, 輸血学の面でも大きな問題となっている. 最近われわれは, 頻回の血小板輸血に伴う抗体産生によって, 輸血に不応状態となった再生不良性貧血症例に対して, HLA部分適合者から得たフェレーシス血小板輸血を行った所, 有効な血小板数の増加と出血症状の改善を認めたので報告する. 症例は14歳, 男子. 昭和58年9月歯肉出血, 発熱などで発症. 某医にて汎血球減少を指摘され, 9月18日当科入院. 入院時末梢血で, 赤血球数270万, 血色素8.5g/dl, ヘマトクリット24.5%, 血小板数3.4万, 白血球数1,100(リンパ球84%), 骨髄は有核細胞数4,000/μlと低形成を呈し, 脂肪髄であった. 検査所見等より再生不良性貧血と診断. 蛋白同化ホルモン剤, プレドニソロンの投与を行ったが, 血液所見の改善得られず, 高度の血小板減少状態に対して, ほぼ連日10単位の血小板輸血を必要とした. 当初は血小板数の増加と出血症状の軽減がみられたが, 次第に輸血効果が減弱し, 入院8ヵ月後の検査で同種抗体の産生が認められた. そこでHLA適合者よりフェレーシス血小板の輸血を行ったところ極めて有効な血小板数の増加と出血症状の劇的改善が得られ, 輸血間隔も延長した. 抗体産生による血小板輸血不応状態では, HLA型の適合した血小板輸血の有効性は広く認められているものの, 検査手技の繁雑さやdonor確保の困難さが険路となり, 実際応用が一般化されていないのが現状である. しかし, 自験例の如くHLA部分適合ではあっても, フェレーシス血小板輸血により著明な臨床効果が得られており, 今後頻回輸血の可能性がある症例では, 同種抗体の有無を適宜チェックすると共に, HLA適合donorの確保を行い, 積極的に対応することが重要であろう. |
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ISSN: | 0546-1448 |