血漿交換による長期寛解を認めた重症筋無力症(MB)の1例
今回我々は, ステロイド以外の免疫抑制剤を使わず, 短期間の血漿交換で長期寛解を得たMGの1症例を経験したので報告した. 症例は40歳, 男性. 昭和55年2月より, 日内変動を伴い, 休息により回復する咀嚼・嚥下・構音障害が出現. Tensilon test陽性よりMGの診断をうけ, Mytelase20mg/日投与により臨床症状は一時改善するも, 球麻痺症状が再び増悪したため産医大神経内科に入院した. 神経学的には, 顔面筋脱力・球麻痺症状・頚筋力低下が認められた. 筋電図でWaning現象を認め, 気縦隔影響で胸腺肥大が存在した. 入院後, 抗コリンエステラーゼ剤療法・ステロイド療法・胸...
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Zusammenfassung: | 今回我々は, ステロイド以外の免疫抑制剤を使わず, 短期間の血漿交換で長期寛解を得たMGの1症例を経験したので報告した. 症例は40歳, 男性. 昭和55年2月より, 日内変動を伴い, 休息により回復する咀嚼・嚥下・構音障害が出現. Tensilon test陽性よりMGの診断をうけ, Mytelase20mg/日投与により臨床症状は一時改善するも, 球麻痺症状が再び増悪したため産医大神経内科に入院した. 神経学的には, 顔面筋脱力・球麻痺症状・頚筋力低下が認められた. 筋電図でWaning現象を認め, 気縦隔影響で胸腺肥大が存在した. 入院後, 抗コリンエステラーゼ剤療法・ステロイド療法・胸腺摘出術を行うも効果なく, また気管支拡張症を合併しており, そのため肺炎に続発するクリーゼをくり返したため, 血漿変換の適応と考えられた. 血漿交換はIBM2997を用い, 置換液にはPlasmanate, Albumin+Salineを使用した. 血漿交換は, 昭和56年10月から12月にかけて4回, 昭和57年11月に4回施行し, 抗AChR抗体価の減少に伴い, それぞれ8ヵ月・4カ月の長期にわたる寛解を得た. また昭和58年, 低線量全身X線照射療法を行ったが臨床効果ないため, 同年7月から9月にかけて4回の血漿交換と4回のLymphoplasmapheresisを行ったところ一時的な寛解を得た. 本症例では抗AChR抗体価と臨床症状は必ずしも相関しなかった. MGに対する血漿交換は有効な治療法である事が知られているが, 個々の症例において治療効果は一定していない. 長期寛解を得るために, 血漿交換とステロイド大量療法および免疫抑制剤の併用が試みられているが, 本症例のように, 短期間の血漿交換とステロイド療法のみで最長8ヵ月の長期にわたって寛解を見た症例の報告はない. |
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ISSN: | 0546-1448 |