輸血後肝炎の発生状況

HBs抗原に対する供血血液のスクリーニング法がほぼ確立され, B型肝炎の発生はほとんどみられなくなっている. にもかかわらず, 輸血後肝炎の発生率は, 期待されたほどの減少は認められず, むしろ漸増傾向にあるようでもある. そこで, 当院外科における昭和55年と昭和56年の輸血後肝炎の発生状況を検索した. また, この検索は遠からず確立されるであろう第3・第4の肝炎ウイルス抗原のスクリーニングによる, 輸血後肝炎の発生率の減少を確認するためにも必要と考えられる. 対象:昭和55年と昭和56年の2年間において, 本院一般外科での輸血症例各165例と, 211例のうち, 閉塞性黄疸, 重症感染症,...

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Hauptverfasser: 江草康夫, 高橋一洋, 千島雅太郎, 鳥居有人
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:HBs抗原に対する供血血液のスクリーニング法がほぼ確立され, B型肝炎の発生はほとんどみられなくなっている. にもかかわらず, 輸血後肝炎の発生率は, 期待されたほどの減少は認められず, むしろ漸増傾向にあるようでもある. そこで, 当院外科における昭和55年と昭和56年の輸血後肝炎の発生状況を検索した. また, この検索は遠からず確立されるであろう第3・第4の肝炎ウイルス抗原のスクリーニングによる, 輸血後肝炎の発生率の減少を確認するためにも必要と考えられる. 対象:昭和55年と昭和56年の2年間において, 本院一般外科での輸血症例各165例と, 211例のうち, 閉塞性黄疸, 重症感染症, 薬物による肝機能障害を除いた各142例と175例を対象とした. 方法:(1)追跡期間が12週以上の症例は, 昭和55年は142例中76例, 昭和56年は175例中93例であった. 長期の追跡が困難なため, life table法にて累積肝炎発生率を求めた. (2)肝炎の判定は, 厚生省血清肝炎研究斑(吉利斑)の判定基準に準じた. 結果:昭和55年は, 表1の如く, 142例の対象例中, 輸血後肝炎は確診例11例, 疑診例5例の計16例に発生が認められ, 累積肝炎発生率は, 確認例では10.0%, 肝炎全体では15.2%であった.
ISSN:0546-1448