血小板のA, B型について

緒言 血小板上にA, B血液型抗原の存在することは, いくつかの血清学的手法によって示されており, また, 選ばれた高力価の抗Aまたは抗B抗体を用いれば, 血小板補体結合反応によっても容易に血小板上のA, B抗原を検出し得ることが確かめられた1). 最近, Cartronら2)は, ABO式血液型の遺伝子産物であるGlycosyltransferase活性を血小板に見出し, 血小板によるA, B抗原の生合成を示唆した. しかし, Lewisら5)や, Shulmanら10)が述べた様に, 血漿中に存在するA, B物質が血小板上に吸着され, A, B抗原として表現される可能性も否定できない. L...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1983, Vol.29 (1), p.13-18
Hauptverfasser: 安藤文英, 大河内一雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:緒言 血小板上にA, B血液型抗原の存在することは, いくつかの血清学的手法によって示されており, また, 選ばれた高力価の抗Aまたは抗B抗体を用いれば, 血小板補体結合反応によっても容易に血小板上のA, B抗原を検出し得ることが確かめられた1). 最近, Cartronら2)は, ABO式血液型の遺伝子産物であるGlycosyltransferase活性を血小板に見出し, 血小板によるA, B抗原の生合成を示唆した. しかし, Lewisら5)や, Shulmanら10)が述べた様に, 血漿中に存在するA, B物質が血小板上に吸着され, A, B抗原として表現される可能性も否定できない. Lewisらは, 混合凝集法, 血小板凝集法により, 動物由来または唾液中のA, B物質がO型血小板に吸着されることを証明したが, 血漿を用いては明確な結論を出し得なかった. 今回, 血小板補体結合反応を利用し, 血漿を材料にしてこの吸着実験を追試したところ, 血漿中のA. B抗原のO型血小板による吸着を確認し得たので, 血小板上に見出されるA, B抗原の由来について考察を加えた.
ISSN:0546-1448