抗Jk^b 抗体による遅発性溶血性副作用の2例
抗Jk^b 抗体による遅発性溶血性副作用の2症例を経験したので, 報告し, 防ぐ方法がなかったかについて考案した. 症例1は, 輸血歴のある41歳の女性. 間接クームス法での交差試験陰性の保存血5単位を緊急に輸血. 輸血時, 不適合輸血の症状なし. 不規則抗体スクリーニングが遅れて行なわれ, オートアナライザー(A.A.)のみで弱い抗Jk^b 抗体があった. 輸血した血液はすべてJk(b+). 5日目の血液は, 直接クームス陽性で, 抗Jk^b 抗体が誘出され, 血清中にも抗Jk^b が×2で検出された. 6日目をピークとする軽い貧血, 血清Hpの消失, LDHの上昇があり, 生体内溶血が,...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1982, Vol.28 (6), p.590-590 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 抗Jk^b 抗体による遅発性溶血性副作用の2症例を経験したので, 報告し, 防ぐ方法がなかったかについて考案した. 症例1は, 輸血歴のある41歳の女性. 間接クームス法での交差試験陰性の保存血5単位を緊急に輸血. 輸血時, 不適合輸血の症状なし. 不規則抗体スクリーニングが遅れて行なわれ, オートアナライザー(A.A.)のみで弱い抗Jk^b 抗体があった. 輸血した血液はすべてJk(b+). 5日目の血液は, 直接クームス陽性で, 抗Jk^b 抗体が誘出され, 血清中にも抗Jk^b が×2で検出された. 6日目をピークとする軽い貧血, 血清Hpの消失, LDHの上昇があり, 生体内溶血が, 遅れて起っていることが, 確認された. 14日目にJk(b-)の血液を3単位輸血して, 貧血は改善した. A.A.によるスクリーニングが輸血前に終っていれば, 避けられた. 症例2は, 輸血歴のある51歳の女性. 不規則抗体スクリーニング(A.A.)陰性. 間接クームス法による交差試験適合の保存血を7単位輸血. 輸血副作用なく, T.Bil, Hp, LDH正常. 5日目の昼, 濃厚赤血球2単位輸血. 交差試験は, 5日前の患者血清を用いた. 4時間半後より, 悪寒, 戦慄, 発熱, 血圧上昇の症状が出現. 食道静脈瘤からの大量吐血があり, 主治医が, 5日前の患者血清で交差試験をして更に保存血5単位を輸血した. この日の7単位は, すべてJk(b+)であった. 遅れて判ったが, この日の朝(輸血前)から既に, 肉眼的血尿があり, 患者血清も赤く, 溶血は明らかで, 遅発性溶血性副作用が起っていた. この日の朝の患者血清中には, 抗Jk^b +Bg^a 抗体が検出されLDHは著明に上昇, 高ビリルビン血症, 血清Hpの消失が確認された. 以後Jk(b-)の血液をA.A.で交差試験し, 輸血をして次第に改善した. この例では, 遅発性溶血性副作用は, 避けられなかったが, 5日目の更なる不適合輸血は, 患者の当日の血清を使えば避けられたわけで, 輸血当日の患者血液による交差試験の必要性を痛感した. |
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ISSN: | 0546-1448 |