高力価第VIII因子抑制物質を有する血友病Aの右大腿慣性嚢腫様血腫摘除術
高力価第III因子抑制物質の発生した血友病A患者の止血管理は困難であり,特に,手術例の報告は極めて少ない.我々は高力価第VIII因子抑制物質を有する血友病Aの血腫摘出術を,血漿交換,大量第VIII因子濃縮製剤およびプロトロンビン複合体製剤を用いることにより成功したのでその概要を報告する. 症例:40歳,男性 主訴:右大腿血腫 家族歴:家系に出血者なし 既往歴:幼児期より,皮下血腫,関節出血を反復し,20歳時長崎大学原研内科にて血友病Aと診断.30歳まで輸血の既往なし. 現病歴:1974年に右大腿内後方部に特に誘因なく血腫が出現し,1979年に長崎大学にてcryoprecipitateによる治療...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1982, Vol.28 (2), p.223-225 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 高力価第III因子抑制物質の発生した血友病A患者の止血管理は困難であり,特に,手術例の報告は極めて少ない.我々は高力価第VIII因子抑制物質を有する血友病Aの血腫摘出術を,血漿交換,大量第VIII因子濃縮製剤およびプロトロンビン複合体製剤を用いることにより成功したのでその概要を報告する. 症例:40歳,男性 主訴:右大腿血腫 家族歴:家系に出血者なし 既往歴:幼児期より,皮下血腫,関節出血を反復し,20歳時長崎大学原研内科にて血友病Aと診断.30歳まで輸血の既往なし. 現病歴:1974年に右大腿内後方部に特に誘因なく血腫が出現し,1979年に長崎大学にてcryoprecipitateによる治療を受け,一旦血腫は縮少傾向を示した.翌1980年3月,左大腿血腫の際,第VIII因子濃縮製剤による止血効果がなく,検査の結果,第VIII因子抑制物質6.4Bethesda単位が検出された.交換輸血,血漿交換が行われ左大腿血腫は消失するも,5月になり右大腿血腫が漸次増大したため,手術を目的として当科に転院した. 入院時現症:血腫は11×19cmで大腿周囲径57cm,表面平滑な比較的硬い腫瘤であった. |
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ISSN: | 0546-1448 |