Au抗原, 抗体の地域別, 人種別研究 特に在日韓国人のAu抗原, 抗体検出率について

大阪日赤病院では, 受診者中肝疾患患者が極めて高い比率を占める事実の一端を究明すべく, 今回は本院で最も利用者が多く, かつ韓国人の居住者も多い生野区, 東成区を中心としてAu抗原, 抗体の検索を試み殊に在日韓国人についても検討したので報告する. 1)方法は文部省難治性肝炎研究班, 主として国立がんセンター西岡先生の全面的ご協力を得て抗原については, IAHA法, 抗体はPHA法を実施したが1部は, エーザイKK免疫研究室のご好意によって同様に実施した. 2)成績1 大阪府赤十字血液センターでの献血者をIES法で検討したが, 生野区ではAu抗原陽性率は2.649%(3,020名中80名)他地域では, (160,847名中3,961名)2.466%で両者の間に有意の差が認められなかった. 2. 次に本院受診者中, 健康診断目的の来診者, および肝疾患, 輸血の既往歴なく, 肝疾患の家族歴を欠きかつ現在肝機能異常を全く認めない“他病者”を被検対象として選び地域間, 人種で差異があるか否かを検討した.