経静脈的脂質補給に関する研究
緒言 すべて疾病の治療の基礎には常に患者の栄養面での管理が重要であり, 最良の状態に保つための努力が払われる. とくに三大栄養素の1つである脂質は, カロリー源として重要視されるほかに, i:人体の基質を構成する栄養素であり, ii:必須脂肪酸は生体機能上必要な成分であり, またiii:特殊な薬物作用があることなどから一層その重要性が強調されている. しかし脂質の消化, 吸収および体内利用などが他の栄養素と比べて複雑なことから, ともすれば脂質の摂取を制限する傾向にあった. われわれ外科の領域ではしばしば経口的食事摂取が不可能な状態の患者を取扱うことが多く, この場合経管的栄養法(tube f...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1969, Vol.16(1), pp.7-16 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 緒言 すべて疾病の治療の基礎には常に患者の栄養面での管理が重要であり, 最良の状態に保つための努力が払われる. とくに三大栄養素の1つである脂質は, カロリー源として重要視されるほかに, i:人体の基質を構成する栄養素であり, ii:必須脂肪酸は生体機能上必要な成分であり, またiii:特殊な薬物作用があることなどから一層その重要性が強調されている. しかし脂質の消化, 吸収および体内利用などが他の栄養素と比べて複雑なことから, ともすれば脂質の摂取を制限する傾向にあった. われわれ外科の領域ではしばしば経口的食事摂取が不可能な状態の患者を取扱うことが多く, この場合経管的栄養法(tube feeding)と経静脈的補給法(parenteral nutrition)の2つの方法が, それぞれ単独に, あるいは併用して用いられる. われわれは今まで消化器手術患者ことに胃の手術患者術後栄養の管理を経管的栄養法を主体として行ない, この際とくに脂質を大量添加することによってカロリーの補給ならびに必須脂肪酸の補給をはかり, 術後における混合栄養の有用性を種々の面から立証してきた. しかし術後静脈栄養のみで栄養管理を行わねばならない場合には, どうしても脂質を加えなければ必要栄養量を満足させることはできない. 最も完全な静脈栄養を行なうには従来のごとき脂質補給では量的にも制限を余儀なくされており甚だ不十分なものであった. 栄養源として脂質を補給するならば, さらに大量の補給が必要とされていた. この方面の研究は各国においてすすめられていたが, 最近経静脈的にもかなり大量の脂質補給が可能な静注用脂肪乳剤(Intralipid, DI-22)ができ, 手術前後の栄養管理の上に, 画期的な進歩が期待できるようになってきた. われわれは, この度わが国において開発された静注用脂肪乳剤DI-22を手術前後の患者に試用し若干の知見をえたので報告する. |
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ISSN: | 0546-1448 1883-8383 |
DOI: | 10.3925/jjtc1958.16.7 |