血清トランスアミナーゼが異常に高値を示した血清肝炎の2症例
術後血清肝炎の病初期においては血清トランスアミナーゼは, 肝炎全経過中最も高値を示す例が多いが, この2症例はとくに異常高値を示し, その後も興味ある経過を示したので報告する. 第1例:○森○治, 53才の男, 会社員. 家族歴, 既往歴, 生活歴にもとくに記すべきことはなく生来健康であったが, 昭和41年9月会社の健康診断で胃ポリープを指摘され東大分院外科へ入院し, 同年11月5日胃切除術を受けた. 切除胃には5コのポリープが認められたが, 臨床的に悪性像はなく, 病理組織診断でも悪性変化は証明されなかった. 本症例は術中, 術後に1,800mlの輸血を受けた. スライド右は術前, 術後の血...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1968, Vol.15 (5/6), p.208-209 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 術後血清肝炎の病初期においては血清トランスアミナーゼは, 肝炎全経過中最も高値を示す例が多いが, この2症例はとくに異常高値を示し, その後も興味ある経過を示したので報告する. 第1例:○森○治, 53才の男, 会社員. 家族歴, 既往歴, 生活歴にもとくに記すべきことはなく生来健康であったが, 昭和41年9月会社の健康診断で胃ポリープを指摘され東大分院外科へ入院し, 同年11月5日胃切除術を受けた. 切除胃には5コのポリープが認められたが, 臨床的に悪性像はなく, 病理組織診断でも悪性変化は証明されなかった. 本症例は術中, 術後に1,800mlの輸血を受けた. スライド右は術前, 術後の血清トランスアミナーゼの推移を示したシェーマであるが術後5日目に悪感戦慄を伴なう39℃の発熱があり, その翌日は平熱に下降した. 8日目にS-GOT140単位, S-GPT118単位となり, その後38℃台の発熱が断続して食思不振と全身倦怠感を訴えるようになり, 術後16日目に急激に, S-GOT5,430単位, S-GPT3,000単位の高値に達した. 黄疸と他の検査所見から輸血後肝炎と診断された. ステロイドを使用する他, 肝庇護療法を行なった結果, 23日目にはS-GOT1,040単位, S-GPT1,850単位に下降し以後漸減した. |
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ISSN: | 0546-1448 |