経過中に血液型の変動をみた慢性骨髄性白血病の1例
われわれは, 慢性骨髄性白血病の患者で, その経過中A因子に変化のみられた例を経験した. 種々の事情で十分の検索を行なうことはできなかったが, 簡単にその経過を報告する. 昨年6月, 血液型検査の結果AB型らしいがA因子が非常に弱いので検査を依頼されたものである. 6月14日の検査時には抗A抗体に対しては対照, として使用したA_1 , A_1 B血球が32-64倍まで陽性であるのに, 本例ではわずかに4倍であり, また鏡検の結果, 遊離の血球が非常に多く存在した. また, ドリコス・エキスに対しても反応せずB因子は対照との間に差を認る事はできなかった. そこで白血病によるA因子の亜型化であろ...
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Veröffentlicht in: | 日本輸血学会雑誌 1967, Vol.14 (1), p.141-142 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | われわれは, 慢性骨髄性白血病の患者で, その経過中A因子に変化のみられた例を経験した. 種々の事情で十分の検索を行なうことはできなかったが, 簡単にその経過を報告する. 昨年6月, 血液型検査の結果AB型らしいがA因子が非常に弱いので検査を依頼されたものである. 6月14日の検査時には抗A抗体に対しては対照, として使用したA_1 , A_1 B血球が32-64倍まで陽性であるのに, 本例ではわずかに4倍であり, また鏡検の結果, 遊離の血球が非常に多く存在した. また, ドリコス・エキスに対しても反応せずB因子は対照との間に差を認る事はできなかった. そこで白血病によるA因子の亜型化であろうと推測し, その経過を追求したところ, 病状好転とともに8月10日には抗A抗体に対して対照のA_1 血球と同様128倍まで反応し, ドリコスエキスに対しても4倍まで反応がみられるようになった. その間7月20日まで3,800mlの適合血の輸血が行なわれており8月10日にはこれら輸注赤血球が, まだ残存していたことは十分考えられるが, ウレックス・エキスに対しては, 全く反応が認められなかったこと, まだ連続的に輸血を繰返していた7月11日の血球は抗A抗体やドリコスエキスに対する反応が対照のA_1 血球にくらべてはるかに弱かったことなどからして, 患者血球も, また本来のA_1 Bに復帰していたと考えられる. |
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ISSN: | 0546-1448 |