出血性素因患者に対する体外循環の経験

出血性素因を有し, 心室中隔欠損を伴う高度の肺動脈漏斗部狭窄の先天性心疾患患者を, 術前に十分Controlし, 術中・術後の適切なる処置によって順調な経過をとったので報告する. (1)術前の出血傾向は凝固学的治療でcontrolできた. (2)術中から術後にかけての出血時間延長は血小板数の回復に比べ, かたり遅延した. (3)体外循環中の線溶現象亢進およびフィブリノーゲンの軽度減少がみられた. (4)Plasma-heParinの緩徐な減少は第14回日本輸血学会総会で発表した通りで, ヘパリン・プロタミン比1.75で十分中和され, 術後heparin-rebound現象による出血増加はなかっ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1967, Vol.14 (1), p.110-110
Hauptverfasser: 西村正也, 浅尾学, 飯田順造, 木村誉司, 大里敬一, 吉成意之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:出血性素因を有し, 心室中隔欠損を伴う高度の肺動脈漏斗部狭窄の先天性心疾患患者を, 術前に十分Controlし, 術中・術後の適切なる処置によって順調な経過をとったので報告する. (1)術前の出血傾向は凝固学的治療でcontrolできた. (2)術中から術後にかけての出血時間延長は血小板数の回復に比べ, かたり遅延した. (3)体外循環中の線溶現象亢進およびフィブリノーゲンの軽度減少がみられた. (4)Plasma-heParinの緩徐な減少は第14回日本輸血学会総会で発表した通りで, ヘパリン・プロタミン比1.75で十分中和され, 術後heparin-rebound現象による出血増加はなかった. (5)術後出血量10.4ml/kgで, 他の一般症例と変りなかった. (6)開心術には, 血液凝固学的検査を十分に行ない, 術中, 術後の意外な出血傾向を防止する上に, 出血性素因の有無を確めることが必要である. 症例の如き出血性素因疾患でも適切なる管理の基に開心術を施行しうる.
ISSN:0546-1448