血清アルブミン分劃の輸血効果に及ぼす影響に関する実験的研究

周知のように, 胸部外科に於ける出血は, 腹部手術等に比べて大量の場合が多く, 従って, 胸部外科領域に於いては, 出血及びそれに対応する輸血又は輸液がより重要な問題となっている. そこで我々は昭和33年2月以降, 現在に至るまで, 大量出血及びそれに対応する大量輸血或いは輸液の問題に就いて実験的並びに臨床的に検討を加えつつある. それ等の検討成績から, 我々は大量出血後には, 如何に適量の輸血を行っても, それが保存血等の他家輸血である限り術後数日乃至数週間にわたって血液中の蛋白濃度は術前値に比べて10%内外の低値を示すことが多いことを知ると共に, その低値を示す理由は大量出血に伴う個体特異...

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Veröffentlicht in:日本輸血学会雑誌 1960, Vol.6 (6), p.351-353
Hauptverfasser: 寺松孝, 木下修二郎, 山崎昇, 馬渡誠
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:周知のように, 胸部外科に於ける出血は, 腹部手術等に比べて大量の場合が多く, 従って, 胸部外科領域に於いては, 出血及びそれに対応する輸血又は輸液がより重要な問題となっている. そこで我々は昭和33年2月以降, 現在に至るまで, 大量出血及びそれに対応する大量輸血或いは輸液の問題に就いて実験的並びに臨床的に検討を加えつつある. それ等の検討成績から, 我々は大量出血後には, 如何に適量の輸血を行っても, それが保存血等の他家輸血である限り術後数日乃至数週間にわたって血液中の蛋白濃度は術前値に比べて10%内外の低値を示すことが多いことを知ると共に, その低値を示す理由は大量出血に伴う個体特異性アルブミン分層の喪失にあることを推定し得たのである. そこで今回は我々が血液中のアルブミン分劃中には個体に特異なアルブミン分屑が存在していることを推定するに至った経過を述べ, 併せてその対策にも言及したいと思う.
ISSN:0546-1448