ABO式血液型不適合妊娠に伴う母児感作と交換輸血に関する二, 三の考察

我々は産婦人科領域における原因不明の流早産や新生児溶血性疾患の原因を母児感作の成立に求めようとして検査した多数の症例において, 母親血液中に明らかにABO式血液型以外の血液型に関する抗体を見出した症例は1406例中わずかにRh抗体6例不明抗体2例で, その発現頻度は0.56%に過ぎずABO式血液型以外には不適合が認められない場合が大部分であることを認めたので, これらの症例を中心にABO式血液型不適合妊娠における母児感作成立の可能性と, かかる場合の交換輸血の実施法に関して二, 三の考察を試みた. (I)ABO式不適合妊娠における抗A/B免疫抗体 血液型不適合に基く母児感作の影響は抗体の胎盤通過性の観点から一價の免疫抗体にその原因が求められているので, ABO式血液型において異型妊娠が認められ, Rh抗体及びその他の血液型による抗体とは関係がないことが確められ, しかも母児感作の疑われる症例について抗A/B免疫抗体の検出を行ってみた.