A14 I型コラーゲンゲルの物性と繭糸の形状を改善した新しい培養担体の開発と強度のある結合組織の再構築

【目的】組織工学の技術が発展し様々な細胞の足場(scaffold)が開発されてきたが, 加重や加圧に充分に耐えられる靭帯や腱などの結合組織を再構築する決定的な方法は開発されていない. I型コラーゲンゲルは線維芽細胞の良好な足場になることが, 一方, 繭糸は古くより手術用縫合糸として使用され優れた強度と安全性を有していることが知られている. しかし, 充分に強度のある結合組織を再構築するためには, I型コラーゲンゲルには強度の向上が, また繭糸には組織の鋳型となるような形状加工が必要と考えられた. そこで, これらを改善した新しい培養担体を開発し, さらに線維芽細胞を三次元培養することで強度のあ...

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Veröffentlicht in:CONNECTIVE TISSUE 2004, Vol.36 (2), p.93-93
Hauptverfasser: 竹澤俊明, 尾崎克之, 高林千幸, 二谷綾, 下岡正志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】組織工学の技術が発展し様々な細胞の足場(scaffold)が開発されてきたが, 加重や加圧に充分に耐えられる靭帯や腱などの結合組織を再構築する決定的な方法は開発されていない. I型コラーゲンゲルは線維芽細胞の良好な足場になることが, 一方, 繭糸は古くより手術用縫合糸として使用され優れた強度と安全性を有していることが知られている. しかし, 充分に強度のある結合組織を再構築するためには, I型コラーゲンゲルには強度の向上が, また繭糸には組織の鋳型となるような形状加工が必要と考えられた. そこで, これらを改善した新しい培養担体を開発し, さらに線維芽細胞を三次元培養することで強度のある結合組織の再構築を検討した. 【対象ならびに方法】I型コラーゲンゲルの物性改変は, 卵白のガラス化技術(乾燥により自由水と結合水を除去して透明性のある固い物質へ変換する)を応用した後に再水和した. また, 繭糸の平面形状への加工は, 水分を付与した後に加熱プレスすることで繭糸構成蛋白質のセリシンを再膠着させて平面絹を作製した. 平面絹を包埋したI型コラーゲンゲルにガラス化技術を応用して新しい培養担体を開発した. この培養担体の両面にヒト真皮由来線維芽細胞を三次元培養することで結合組織を再構築して, その経時的な組熾形態と強度特性を解析した. 【結果】I型コラーゲンゲルはガラス化技術を応用して再水和することで透明性と強度を向上したゲル薄膜へ物性を改変できた. 平面絹の引っ張りと押しに耐える強度は綿製ガーゼの約5倍であった. 線維芽細胞は2-3週間の培養で, 平面絹含有コラーゲンゲル薄膜担体の周囲に厚み0.5mm以上の結合組織様の再構築体を形成した. 再構築した結合組織は, 平面絹の強度を維持していた. 【結論】I型コラーゲンゲルの物性と繭糸の形状を改善した新しい培養担体を開発して, 強度のある結合組織を再構築する技術を開発した.
ISSN:0916-572X