骨髄ストローマ細胞表面のフィブロネクチンによる破骨細胞分化制御

RANKLはpreB細胞上に発現が認められるが, 破骨前駆細胞との共存培養で破骨細胞は形成されない. このことは, 破骨細胞の分化はRANK-RANKLによってのみ制御されるのでなく, RANKL以外のストローマ細胞上の因子によりて, 調節を受けている可能性がある. 本研究では, 破骨細胞の分化を制御するストローマ細胞表面分子を検出することを目的とした. 破骨細胞形成を支持するストローマ細胞株TSB13を抗原とし, モノクローナル抗体を作成した. スクリーニングの結果, TSB13上の表面分子に結合する抗体A15-1を得た. 免疫組織染色で抗原は骨表面のストローマ細胞に発現が認められ, 活性型...

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Hauptverfasser: 新井智, 網塚憲生, 東由明, 関口清俊, 工藤明
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:RANKLはpreB細胞上に発現が認められるが, 破骨前駆細胞との共存培養で破骨細胞は形成されない. このことは, 破骨細胞の分化はRANK-RANKLによってのみ制御されるのでなく, RANKL以外のストローマ細胞上の因子によりて, 調節を受けている可能性がある. 本研究では, 破骨細胞の分化を制御するストローマ細胞表面分子を検出することを目的とした. 破骨細胞形成を支持するストローマ細胞株TSB13を抗原とし, モノクローナル抗体を作成した. スクリーニングの結果, TSB13上の表面分子に結合する抗体A15-1を得た. 免疫組織染色で抗原は骨表面のストローマ細胞に発現が認められ, 活性型ビタミンD_3 の投与を続けたマウスの骨髄で抗原の発現上昇が見られた. 抗原は, 間葉系細胞株のみに広く発現していた. A15-1を破骨前駆細胞とストローマ細胞の共存培養系に加えたところ, 破骨前駆細胞から単核破骨細胞への分化がおこる最初の2日間のみ加えたとき, 破骨細胞分化阻害が認められた. しかし, ストローマ細胞を用いない可溶型RANKLによる破骨細胞分化は阻害しなかった. 高カルシウム血症モデルマウスの腹腔内にA15-1を投与したところ, 破骨細胞数, 骨吸収活性ともに抑制傾向が認められた. 大量に蛋白を集め, 免疫沈降後CBB染色でone-bandを切り出し, アミノ酸配列を決定したところ, この抗原はフィブロネクチンであった. フィブロネクチンのantisense-oligopeptideをTSB13にtransfectionし, 細胞表面での発現を低下させたところ, 共存培養系における破骨細胞形成活性は低下した. この結果はフィブロネクチンが破骨細胞分化を制御することを抗体のみならず, 遺伝子レベルでも証明できたことを示す. A15-1の処理により, in vivo, in vitroで破骨細胞形成が阻害されたことから, 細胞表面のフィブロネクチンがストローマ細胞依存性の破骨細胞分化に必須である可能性が示唆された. フィブロネクチンと破骨前駆細胞上のインテグリンと相互作用により生じたシグナルがRANK-RANKLによる破骨細胞形成シグナルを補助したものと考えられる.
ISSN:0916-572X