デルマトポンチン・ノックアウトマウスの解析

目的:デルマトポンチン(DPT)は皮膚, 骨組織, 骨格筋などの細胞外マトリックス(ECM)に発現しているがその生物学的機能については不明である. 我々はDPTの生体内における機能を検討するため, ジーンターゲッティングによりDPTノックアウトマウスを作成し解析を行った. 対象ならびに方法: 1.ノックアウトマウス(KO)の作製 エキソン1がネオマイシン・カセットと置換するようにターゲッティングベクターを構築し, KOを作製した. 遺伝子および蛋白レベルの発現が欠失していることを, RT-PCR法, ウエスタンブロットにより確認した. 2.形態学的解析 背部皮膚組織を採取し光顕レベルおよび電顕...

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Hauptverfasser: 竹田潮, 新海浤, 安達栄治郎, 松本健郎, 谷口克
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:目的:デルマトポンチン(DPT)は皮膚, 骨組織, 骨格筋などの細胞外マトリックス(ECM)に発現しているがその生物学的機能については不明である. 我々はDPTの生体内における機能を検討するため, ジーンターゲッティングによりDPTノックアウトマウスを作成し解析を行った. 対象ならびに方法: 1.ノックアウトマウス(KO)の作製 エキソン1がネオマイシン・カセットと置換するようにターゲッティングベクターを構築し, KOを作製した. 遺伝子および蛋白レベルの発現が欠失していることを, RT-PCR法, ウエスタンブロットにより確認した. 2.形態学的解析 背部皮膚組織を採取し光顕レベルおよび電顕レベルでコラーゲン線維の解析を行った. 3. 皮膚の引張試験 ダンベル型皮膚片を引張試験(20 mm/min)に供した. 4.グリコサミノグリカン(GAGs)の解析 皮膚組織GAGsを抽出しウロン酸定量および2次元電気泳動を行った. 結果:KOは一見正常であったが皮膚の過伸展がみとめられた. KOは真皮コラーゲン線維束の密度が疎で, 電顕ではコラーゲン細線維が疎で直径が不均一であった. 皮膚破断時の最大張力はKOでは有意に減少していた. GAGsがKOでは増加しており, 2次元電気泳動ではヒアルロン酸が増加していた. 考察:KOではコラーゲン細線維の径が太く不均一であることより, DPTは細線維の直径を制御することが考えられる. KO真皮コラーゲン線維の密度が疎であることへの代償的作用でヒアルロン酸の増加がみられた可能性がある. 結論:DPTはコラーゲン細線維形成を調節することが判明し, エーラス・ダンロス症候群の原因遺伝子の一つである可能性が考えられる.
ISSN:0916-572X