消化管創傷治癒‐消化性潰瘍修復および吻合創治癒

消化管粘膜では増殖のポテンシャルを有する細胞が一定の場所に存在し, 一定の方向に移動しながら特異な機能を発現する1). 消化管粘膜における恒常性を維持するために上皮細胞および線維芽細胞, 血管内皮細胞, 炎症細胞などが損傷に対応して増殖因子, サイトカインを産生, 放出し, 細胞外マトリックス(ECM)の生成を通じて組織修復を行う2). 消化性潰瘍または外傷, 切除に伴う組織損傷にひきつづき, 局所で創傷治癒反応がおこる3), 4). びらんの修復は上皮細胞の遊走により行われ, 深層の損傷すなわち潰瘍ではECMの増生に上皮化という皮膚における二期治癒に相当する修復過程をとる. 修復には血流(血...

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Veröffentlicht in:CONNECTIVE TISSUE 2000-12, Vol.32 (4), p.351-359
Hauptverfasser: 徳永昭, 恩田昌彦, 木山輝郎, 小野寺浩之, 松倉則夫, 的場康徳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:消化管粘膜では増殖のポテンシャルを有する細胞が一定の場所に存在し, 一定の方向に移動しながら特異な機能を発現する1). 消化管粘膜における恒常性を維持するために上皮細胞および線維芽細胞, 血管内皮細胞, 炎症細胞などが損傷に対応して増殖因子, サイトカインを産生, 放出し, 細胞外マトリックス(ECM)の生成を通じて組織修復を行う2). 消化性潰瘍または外傷, 切除に伴う組織損傷にひきつづき, 局所で創傷治癒反応がおこる3), 4). びらんの修復は上皮細胞の遊走により行われ, 深層の損傷すなわち潰瘍ではECMの増生に上皮化という皮膚における二期治癒に相当する修復過程をとる. 修復には血流(血管)の回復(新生)が最も重要であることに異論がない. 皮膚の創傷治癒では, この血管新生の型の違いにより治癒形式が異なることが明らかにされている5). 手術創のように創面が近接する場合には早期に細動脈吻合が生じ, 一期治癒の型をとり, 挫滅創の場合には細動脈吻合は生じず, 著明な毛細血管の増生で修復し, 二期治癒の型をとることが示されている.
ISSN:0916-572X