培養子宮内膜間質細胞と脱落膜細胞の線溶因子と抗線溶因子産生に対する性ステロイドホルモンの影響

〔目的〕子宮内膜間質細胞(SC)と胚定着の場の構成細胞である脱落膜細胞(DC)の線溶因子(PA)と抗線溶因子(PAl)産生に対する性ステロイドの影響を比較することによってDCの細胞生物学的特性を知ること. 〔方法〕手術摘出検体から単離したSCとDCを96穴タイタープレートの各穴でエストロン(E1), エストラジオール(E2), E2+プロゲステロン(P4), P4添加条件で培養し・細胞が培溶液中に産生したt-PA, u-PA, PAl-1抗原をEIAで定量した. 〔結果〕SCのt-PA産生はE2で対照(25.8ng/ml)およびE2+P4に比べ有意に促進された. u-PA産生(1.0ng/ml...

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Hauptverfasser: 上山護, 古川隆正, 斉藤真一, 久保春海, 平川舜, 笠鳥範子, 浦山功
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔目的〕子宮内膜間質細胞(SC)と胚定着の場の構成細胞である脱落膜細胞(DC)の線溶因子(PA)と抗線溶因子(PAl)産生に対する性ステロイドの影響を比較することによってDCの細胞生物学的特性を知ること. 〔方法〕手術摘出検体から単離したSCとDCを96穴タイタープレートの各穴でエストロン(E1), エストラジオール(E2), E2+プロゲステロン(P4), P4添加条件で培養し・細胞が培溶液中に産生したt-PA, u-PA, PAl-1抗原をEIAで定量した. 〔結果〕SCのt-PA産生はE2で対照(25.8ng/ml)およびE2+P4に比べ有意に促進された. u-PA産生(1.0ng/ml)はE2+P4およびP4で対照に比べ有意に抑制された. PAl-1産生(28.0ng/ml)は対照に比べE1で抑制, E2+P4, P4で有意に促進された. またエストロゲン添加に比べE2+P4, P4でPAl-1の有意な増加が認められた. DCのt-PA(25.4ng/ml)およびu-PA産生(7.1ng/ml)は全ての条件で有意に抑制された. またエストロゲン加添に比べE2+P4, P4で有意に産生抑制された. PAl-1産生はエストロゲン添加では対照(20.1ng/ml)とほぼ同量であったが, E2+P4添加で対照の約60倍, P4添加で対照の約55倍の産生量であった. またエストロゲンに比べE2+P4, P4添加で有意に増加した. 〔考察〕SCはP4によって脱落膜化を起こし, 形態的に異なることは理解されているが, 機能的変化の詳細については十分に解明されていない. SCとDCが産生したPAおよびPAl-1は対照ではu-PAを除きほぼ同量であるが, SCではエストロゲン添加で亢進し, P4添加で抑制された線溶能が, DCでは全ての性ステロイドで抑制された. またDCはP4に対して反応性が亢進し, PAl産生がSCよりも強力に促進されることは, P4による線溶能の抑制がSCには存在しないDC固有の特性であることが考えられた. 〔結論〕1. SCおよびDCはそれぞれt-PA, u-PA, PAl-1を産生した. 2. SCおよびDCのt-PA, PAl-1産生は対照ではほぼ同量であり, SCではエストロゲンで線溶能亢進, P4で線溶能が抑制された. しかしDCでは用いた全てのステロイドで対照に比べ線溶能が抑制され, 特にP4でSCに比べ大量のPAl-1が産出された.
ISSN:0916-572X