TGP-βによる増殖期血管内皮細胞のプロテオグリカン産生の制御

【目的】TGF-βに曝露したコンフルエント(静止期)の培養血管内皮細胞において, 大型ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)分子種および小型コンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカン(CS/DSPG)分子種の産生が亢進し, 後者においてはCS/DS糖鎖の伸長も起こることを昨年の本学会で報告した. 今回, 増殖期の内皮細胞を調製し, そのプロテオグリカン産生のTGF-βによる制御を検討した. 【方法】ウシ大動脈内皮細胞を1×10^4 cells/平方センチメートルに播種し24時間培養後, TGF-β存在下, 「^^3 H]グルコサミンまたは[^^35 S]アミノ酸で代謝標識し, 細胞層およ...

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Veröffentlicht in:CONNECTIVE TISSUE 1998, Vol.30 (2), p.152-152
Hauptverfasser: 鍜冶利幸, 山田晃裕, 山本千夏, 藤原泰之, 宮島三和子, 小泉富美朝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】TGF-βに曝露したコンフルエント(静止期)の培養血管内皮細胞において, 大型ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)分子種および小型コンドロイチン/デルマタン硫酸プロテオグリカン(CS/DSPG)分子種の産生が亢進し, 後者においてはCS/DS糖鎖の伸長も起こることを昨年の本学会で報告した. 今回, 増殖期の内皮細胞を調製し, そのプロテオグリカン産生のTGF-βによる制御を検討した. 【方法】ウシ大動脈内皮細胞を1×10^4 cells/平方センチメートルに播種し24時間培養後, TGF-β存在下, 「^^3 H]グルコサミンまたは[^^35 S]アミノ酸で代謝標識し, 細胞層および培地に蓄積したプロテオグリカンを分析した. 【結果】TGF-βによるグリコサミノグリカンヘの放射活性の取り込みの増加は培地においてのみ認められた, このような変化はTGF-β中和抗体によって消失した, 細胞層および培地に蓄積したHSPGsおよびCS/DSPGsをDEAE-Sephacel陰イオン交換カラムで分離し, TGF-βがHSPGsの蓄積には影響を及ぼさないが, CS/DSPGsの培地への蓄積を顕著に増加させることを見出した. そこで, 培地のCS/DSPG画分をSepharose CL-4Bでゲルろ過したところ, CS/DSPG画分は高分子量型および低分子量型(主要構成物)の二つのサブクラスに分離されたが分子量の変化は観察されず, 後者においてTGF-βによる放射活性の増大が認められた. また, Sepharose CL-6Bによる分析の結果, 低分子量型CS/DSPGサブクラスのCS/DS糖鎖の分子量は約39kDaであったが, TGF-βによる変化は認められなかった. [^^35 S]アミノ酸で代謝標識した培地のコア蛋白をSDS-PAGEで分析したところ, 分子量約450kDaおよび約50kDaにCS/DSPGコアが認められたが, 前者はTGF-βによって減少したのに対し, 主要産物である後者は顕著に増加していた. 【考察・結論】増殖期の内皮細胞がTGF-βに曝露したとき, 小型CS/DSPG分子種の産生が選択的に亢進すること, しかしながらCS/DS糖鎖の伸長は起きないことが明らかとなった.
ISSN:0916-572X