軟骨分化のシグナリングメカニズム
我々の骨格の大部分は, 脊椎骨のような中軸骨や四肢の附属骨にいたるまで, まず, 軟骨として形成される. 骨原基の成長と並行して, 骨原基を構成する軟骨細胞はさらに肥大化/石灰化軟骨細胞へと分化し, 血管侵入と共に骨芽細胞や破骨細胞の出現により骨組織に置換される. これら一連の過程は内軟骨性骨形成とよばれる. 従って, 骨のパターンは, 軟骨(軟骨性骨原基)の形成パターンとして現れる. さて, 骨形成パターンとなる軟骨分化予定領域では, 軟骨細胞を生み出す組織幹細胞(軟骨幹細胞)が活発に分裂を繰り返し, やがて細胞凝集過程(間充織凝集)を経て軟骨細胞へと分化(軟骨初期分化)して軟骨組織が形成さ...
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Veröffentlicht in: | CONNECTIVE TISSUE 1997, Vol.29 (3), p.219-226 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 我々の骨格の大部分は, 脊椎骨のような中軸骨や四肢の附属骨にいたるまで, まず, 軟骨として形成される. 骨原基の成長と並行して, 骨原基を構成する軟骨細胞はさらに肥大化/石灰化軟骨細胞へと分化し, 血管侵入と共に骨芽細胞や破骨細胞の出現により骨組織に置換される. これら一連の過程は内軟骨性骨形成とよばれる. 従って, 骨のパターンは, 軟骨(軟骨性骨原基)の形成パターンとして現れる. さて, 骨形成パターンとなる軟骨分化予定領域では, 軟骨細胞を生み出す組織幹細胞(軟骨幹細胞)が活発に分裂を繰り返し, やがて細胞凝集過程(間充織凝集)を経て軟骨細胞へと分化(軟骨初期分化)して軟骨組織が形成される(図1A~D). このようにして出来上がった軟骨性骨原基の中では, さらに肥大軟骨細胞へと分化段階が進展すると共に軟骨基質の改変とそれに続く石灰化が誘導され, 骨原基中央部に血管侵入を受け入れる準備が整えられる(軟骨後期分化, 図1E, F). 軟骨の支持組織としての機能の大部分は細胞外に構築される軟骨基質によって果たされるのであるから, 軟骨分化の過程は, 発現するコラーゲン遺伝子がI型からII型へとスイッチする過程が軟骨初期分化であると考えてもよい. 軟骨幹細胞の分化と石灰化軟骨への血管侵入は, 内軟骨性骨形成における重要な制御ポイントとなる. 本稿では, 軟骨初期分化がどのようなシグナル分子によって支配されているのか, 特に, FGF(fibroblast growth factor)シグナルの役割を概観する. |
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ISSN: | 0916-572X |