象牙質石灰化と基質タンパク質

【象牙質基質タンパク質の特徴】象牙質と骨はともにコラーゲン性の基質を持つ石灰化組織であり, 通常同じ間葉系組織のグループとして分類されている. しかし象牙質には骨で活発に起こっているリモデリングが見られず, また, 象牙芽細胞という単一種類の細胞のみから構成されているという点で骨よりも単純であり, 石灰化を研究するうえではすぐれた系であると言える. 象牙質の基質はI型コラーゲンを主体として構成されているが, 象牙質の個性は微量成分である非コラーゲン性タンパク質の組成に表れている. 象牙質と骨に共通する非コラーゲン性タンパク質としては骨γ-カルボキシグルタミン酸含有タンパク質(BGP)やCa結合...

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1. Verfasser: 藤沢隆一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【象牙質基質タンパク質の特徴】象牙質と骨はともにコラーゲン性の基質を持つ石灰化組織であり, 通常同じ間葉系組織のグループとして分類されている. しかし象牙質には骨で活発に起こっているリモデリングが見られず, また, 象牙芽細胞という単一種類の細胞のみから構成されているという点で骨よりも単純であり, 石灰化を研究するうえではすぐれた系であると言える. 象牙質の基質はI型コラーゲンを主体として構成されているが, 象牙質の個性は微量成分である非コラーゲン性タンパク質の組成に表れている. 象牙質と骨に共通する非コラーゲン性タンパク質としては骨γ-カルボキシグルタミン酸含有タンパク質(BGP)やCa結合性糖タンパク質であるオステオネクチン等があるが, それらの含有量は象牙質のほうが少ない. 特に象牙質において少ないのは細胞接着性のシアロタンパク質である骨シアロタンパク質(BSP)とオステオポンチンである. これらのタンパク質は骨のリモデリングに関与することが推定されているので, その欠如は象牙質にリモデリングがないことに対応している. これに対して, 象牙質においてもっとも量の多い非コラーゲン性タンパク質は象牙質リンタンパク質, フォスフォフォリンである. その含有量は全非コラーゲン性タンパク質の約半分に達する. これは象牙質に特有のタンパク質であり, 現在までのところ他の組織には見いだされていない.
ISSN:0916-572X