胸部・上腹部諸臓器に広汎にみられた脂肪織炎の1剖検例

Weber-Christian病は, 大腿・臀部その他の皮下脂肪織内に多数の有痛性結節を生じる疾患で, 多くの場合, 弛張熱を伴うが, 稀には皮下脂肪のみならず, 内臓の脂肪組織をもおかして, 死の転帰をとることもある1, 2). Steinberg3)は, このように全身諸臓器内あるいは周囲組織に病変を伴う場合にはsystemic nodular panniculitisの語を用いることを提唱した. またMilner and Mitchinson4〕は皮下脂肪以外の脂肪織にも病変の発現をみるものについてはsystemic Weber-Christian diseaseと呼ぶことを提唱している...

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Veröffentlicht in:結合組織 1986, Vol.18 (1), p.27-36
Hauptverfasser: 土井田誠, 赤尾清剛, 祖父江三津子, 中島伸夫, 竹内純, 中垣茂男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Weber-Christian病は, 大腿・臀部その他の皮下脂肪織内に多数の有痛性結節を生じる疾患で, 多くの場合, 弛張熱を伴うが, 稀には皮下脂肪のみならず, 内臓の脂肪組織をもおかして, 死の転帰をとることもある1, 2). Steinberg3)は, このように全身諸臓器内あるいは周囲組織に病変を伴う場合にはsystemic nodular panniculitisの語を用いることを提唱した. またMilner and Mitchinson4〕は皮下脂肪以外の脂肪織にも病変の発現をみるものについてはsystemic Weber-Christian diseaseと呼ぶことを提唱しているが, その剖検報告は今日まで少なく, 病因についても明らかにされていない. 今回我々は生前膵癌と診断され, その腹腔・胸腔への転移・浸潤のため死亡したと考えられたが, 剖検により癌は見出されず, 胸腔・上腹腔内諸臓器(肺・心・腎・副腎・膵)の間質および周囲組織に高度の脂肪織炎を認め, 腎門部の脂肪織炎のため腎不全にて死亡した症例を経験した. 脂肪織における肉芽腫様病変の組織化学的検索結果も併せて報告し, 本症例の特殊性・成因等について考察する.
ISSN:0916-572X