人脊髄液における酸性ムコ多糖について

難治性脊髄疾患に, 最近癒着性クモ膜炎が臨床的に問題になっている. 脊髄造影や脊椎手術侵襲等が誘因として挙げられているが, その発生機序は, かならずしも明らかでない. われわれはその原因を究明すべく方法として, クモ膜と密接な関係にある脊髄液の性状に注目し, 特に酸性ムコ多糖の動態について, 比較検討する目的で, 今回正常と思われる人脊髄液を対象に, 酸性ムコ多糖を分析した. 〔材料および方法〕主として一般外科, 腰椎麻酔時に採取した新鮮な正常と思われる人脊髄液15検体を, 採取後一部一般化学検査に提出したのち, 直ちに凍結し, -20℃のフリーザーに保存して分析に供した. 対象の年令は26...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:結合組織 1982, Vol.13 (4), p.244-245
Hauptverfasser: 東山義龍, 中村勉, 増田純男, 西山秀木, 蒋益隆, 小沢俊行, 井上駿一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:難治性脊髄疾患に, 最近癒着性クモ膜炎が臨床的に問題になっている. 脊髄造影や脊椎手術侵襲等が誘因として挙げられているが, その発生機序は, かならずしも明らかでない. われわれはその原因を究明すべく方法として, クモ膜と密接な関係にある脊髄液の性状に注目し, 特に酸性ムコ多糖の動態について, 比較検討する目的で, 今回正常と思われる人脊髄液を対象に, 酸性ムコ多糖を分析した. 〔材料および方法〕主として一般外科, 腰椎麻酔時に採取した新鮮な正常と思われる人脊髄液15検体を, 採取後一部一般化学検査に提出したのち, 直ちに凍結し, -20℃のフリーザーに保存して分析に供した. 対象の年令は26歳から64歳, 平均38.2歳で, 男女ほぼ半々で, 腰椎麻酔を要した疾患は局所に限局されたもののみであった(Table 1). 各検体の一般化学検査では, 細胞数1例(19/3)を除き, すべて1立法ミリメートル中5個以下で, グロブリン反応ではPandy反応に5例陽性をみるも, Nonne-Apelt反応は, すべて陰性であった. また総蛋白定量では, 16.1~49.3mg/dl, 糖(glucose)含有量では54.6~75mg/dl, クロール定量では119~126mEq/l範囲内にあり, 全例採取時に血液の混入がなく, xanthochromieを認めなかった.
ISSN:0916-572X