加令に伴う肺結合織の変化

肺老化のメカニズムを知る上で, 肺結合織の加令に伴う変動の検討は欠かせないが, ヒトの場合では未だデータの集積に乏しい. 今回は正常剖検肺37例を7段階の年令群に分けて各々について結合織の生化学的分析を試みると同時に, 70歳代の気腫肺4例についても同様に分析し比較検討した. 剖検肺は脱ホルマリン, 脱脂, 乾燥して出発材料とした. ムコ多糖の分析は, プロナーゼ消化後, TCA除蛋白, CPC沈殿によって得た粗ムコ多糖画分について, その重量を求め, さらに電気泳動と酵素消化法によって分子種を同定し, 児島-中村らの酵素法によって分子種組成比を求めた. コラーゲンは, 出発材料から熱アルカリ...

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Veröffentlicht in:結合組織 1981, Vol.12 (4), p.163-163
Hauptverfasser: 佐藤研, 富樫秀生, 荒井秀夫, 大泉耕太郎, 本宮雅吉, 今野淳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:肺老化のメカニズムを知る上で, 肺結合織の加令に伴う変動の検討は欠かせないが, ヒトの場合では未だデータの集積に乏しい. 今回は正常剖検肺37例を7段階の年令群に分けて各々について結合織の生化学的分析を試みると同時に, 70歳代の気腫肺4例についても同様に分析し比較検討した. 剖検肺は脱ホルマリン, 脱脂, 乾燥して出発材料とした. ムコ多糖の分析は, プロナーゼ消化後, TCA除蛋白, CPC沈殿によって得た粗ムコ多糖画分について, その重量を求め, さらに電気泳動と酵素消化法によって分子種を同定し, 児島-中村らの酵素法によって分子種組成比を求めた. コラーゲンは, 出発材料から熱アルカリ抽出によって得, また, エラスチンは残渣を豚膵エラスターゼ消化し, 可溶画分として得た. 定量は, それらの水解物のハイドロキシプロリン量から換算して求めた. 〔まとめ〕 1)ムコ多糖の総量は, 加令と共に減少する傾向が認められた. 2)ムコ多糖の分子種としてはヒアルロン酸, コンドロイチン硫酸, デルマタン硫酸, ヘパラン硫酸が検出されたが, その組成比は, 各年代間で有意の差を認めなかった. 3)気腫肺では同年令の正常肺に比べ, ムコ多糖の総量はやや増加の傾向を示す一方, ヒアルロン酸の占める割合は有意の減少を示した. 4)コラーゲン及びエラスチンの加令, ないし気腫化に伴う著明な変動は認められなかった. 文献 1)Hall, D.A. :The Ageing of Connective Tissue, Academic Press, London, 1976, p. 79. 2)Horwitz, A.L. et al. :J. Clin. Invest., 56:1312, 1975. 3)Bradley, K.H. et al. :J. Biol. Chem., 249:2674, 1974.
ISSN:0916-572X