リンパ球の膜表面受容体の研究

細胞膜は細胞の形態を保つほか物質の通過をcontro1し, 情報のやりとりをする機能を果しており, 細胞内部の恒常性維持にあづかっているほか, その働きを担っているのは, Singer&Nicolson1)モデルに示される脂質二重層上を流動するたんぱく, 糖たんぱく, 糖脂質である点で結合組織基質と化学構造上の類似性が認められ, 細胞膜は結合組織のミクロのレベルでの原形と考えることができる. 一方免疫反応は認識, 応答, 記憶の3つの機能を果すためにT細胞を中心として細胞群の活発な情報の交換が行なわれており, そのために多くの受容体が細胞表面に保有されている. その特質として, 1)対...

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Veröffentlicht in:結合組織 1980, Vol.12 (2/3), p.90-93
Hauptverfasser: 鈴田達男, 丸本一彰
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:細胞膜は細胞の形態を保つほか物質の通過をcontro1し, 情報のやりとりをする機能を果しており, 細胞内部の恒常性維持にあづかっているほか, その働きを担っているのは, Singer&Nicolson1)モデルに示される脂質二重層上を流動するたんぱく, 糖たんぱく, 糖脂質である点で結合組織基質と化学構造上の類似性が認められ, 細胞膜は結合組織のミクロのレベルでの原形と考えることができる. 一方免疫反応は認識, 応答, 記憶の3つの機能を果すためにT細胞を中心として細胞群の活発な情報の交換が行なわれており, そのために多くの受容体が細胞表面に保有されている. その特質として, 1)対話の相手を確認する働きをもつこと, 2)対応する抗体により抑制あるいは刺激されること, 3)個々の粒子上に高密度に存在しligandと多点接触し, cappingを形成すること, 4)同じ機能を持っていても必ずしも同じ構造とは限らないことなどがあげられる. 免疫担当細胞の受容体2)には大食細胞のFc-, 好塩基球のIgE, 好酸球の化学走向因子にそれぞれ対応する各受容体や胎盤の微絨毛のIgG受容体などがあげられるが, Tリンパ球は抗原mitogen抑制因子, Ia分子などに対するもののほか, 一部の細胞ではIgGおよびIgMFc受容体を保有しており, それぞれ特有の機能を果すことが知られている. ヒトにおいてはヒツジ血球と特有のロゼット(以下Eロゼットと呼ぶ)を形成する受容体が存在し臨床免疫学的にT細胞の計測や分離に広く利用されている. 一方B細胞ではFc受容体のほか, 補体のC3, T細胞からの補助, 抑制因子, Ia分子に対する受有体が存在し, また表面Igも一つの受容体として機能している. われわればこれらのうちヒトT細胞に特有なE受容体並びにB細胞上のFc受容体の物質的探索を試みた.
ISSN:0916-572X