表皮水疱症の皮膚線維芽細胞における酸性ムコ多糖
I. 緒言 先天性表皮水疱症Epidermolysis bullosa hereaditariaとは, 先天的素因に基づく, 僅かな機械的刺激に対して容易に皮膚に水疱が生ずる一群の疾患で, 最初の報告は, 1870年vonHebra1)によってなされ, 1882年のGoldscheider2)の報告以来諸家により種々の名称の下に独立疾患として幾多の報告がなされている. 本症の概念は, 1925年Siemens3)が臨床遺伝学的報告を発表してから次第に明瞭となり, さらにまた, 発症病理についても古来幾多の説が提唱されて現在に至っている. 1969年, Eisen4)がco11agenase活性...
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Veröffentlicht in: | 結合組織 1980, Vol.12 (1), p.13-24 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | I. 緒言 先天性表皮水疱症Epidermolysis bullosa hereaditariaとは, 先天的素因に基づく, 僅かな機械的刺激に対して容易に皮膚に水疱が生ずる一群の疾患で, 最初の報告は, 1870年vonHebra1)によってなされ, 1882年のGoldscheider2)の報告以来諸家により種々の名称の下に独立疾患として幾多の報告がなされている. 本症の概念は, 1925年Siemens3)が臨床遺伝学的報告を発表してから次第に明瞭となり, さらにまた, 発症病理についても古来幾多の説が提唱されて現在に至っている. 1969年, Eisen4)がco11agenase活性異常亢進説を打ち出して一時脚光を浴びたが, この説は二次的であるとする意見5)が出て以後再び錯綜して来た. 一方, 鬼子顕微鏡による検索が進んで, 本症の水疱形成部位が明確とたり, 表皮・表皮真皮接合部・真皮に生ずる水疱は形態学的にはbasal lamina, anchoring filament, anchoring fibril等の形成異常が存在することが知られる様になった. しかし現在までのところ, これら形態学的異常が何に由来するものか未だ明らかにされていない. Plenert6)は単純型表皮水疱症皮膚の真皮上層にヒアルロン酸の減少を認め, Sams&Smith7)やSasai&Fujiyama8)は後天性表皮水疱症皮膚において各々, 弾力線維の増加・hexosamineの増加, oxytalan線維の減少・酸性ムコ多糖の増加を認めた. さらに, Sasaiら9)は優性型栄養障害型表皮水疱症の亜型の白色丘疹状栄養障害型表皮水疱症皮膚で酸性ムコ多糖の増加を, また, Endoら10)は同症尿中に脱硫酸化したデルマタン硫酸の排泄増加を報告している. 最近, 著者ら11)は劣性型栄養障害型表皮水疱症尿中にヒアルロン酸の増加を見出した. そこで, 今回著者は表皮水疱症患者の皮膚線維芽細胞培養系について, 酸性ムコ多糖を細胞内代謝, 特に合成・分泌系の動態, 産生能などの面から検討したのでここに報告する. |
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ISSN: | 0916-572X |