ブタ歯肉のグリコサミノグリカンに関する研究

歯肉は口腔粘膜の一部から成り, 歯に直接付着し, これを支持する結合組織である. 結合組織の主要な基質成分であるグリコサミノグリカン(GAG)は単に組織の構成維持に関与するだけでなく, 細胞外液の容量調節, 電解質の移動, カルシウムの平衡と沈着, 組織の線維化などに重要な役割を営むと考えられている. 歯肉のGAGに関する研究は組織化学的には多くの報告があるが, 生化学的に検討された成果は比較的少ない. Schultz-Haudt1)2)はヒト歯肉からGAGを抽出し, さらに, GAGを電気泳動で分離し, hyaluronic acid(HA)とchondroitin sulfate(ChS)...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:結合組織 1977, Vol.9 (2), p.13-24
Hauptverfasser: 平松正彦, 畠山桂子, 南直臣
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯肉は口腔粘膜の一部から成り, 歯に直接付着し, これを支持する結合組織である. 結合組織の主要な基質成分であるグリコサミノグリカン(GAG)は単に組織の構成維持に関与するだけでなく, 細胞外液の容量調節, 電解質の移動, カルシウムの平衡と沈着, 組織の線維化などに重要な役割を営むと考えられている. 歯肉のGAGに関する研究は組織化学的には多くの報告があるが, 生化学的に検討された成果は比較的少ない. Schultz-Haudt1)2)はヒト歯肉からGAGを抽出し, さらに, GAGを電気泳動で分離し, hyaluronic acid(HA)とchondroitin sulfate(ChS)を同定した. Ciancioら3)はヒト歯肉のGAGはChS-AとChS-Cが主成分であると報告した. 榊ら4)5)はウシおよびヒトの歯肉のGAGを分離同定し, いずれの歯肉でもChS-A, ChS-B, HAおよび少量のheparan sulfate(HS)が存在することを報告した. その他, 三木ら6)のヒト歯肉のGAGの二次元電気泳動による同定報告, 宗本ら7)のウシ歯肉での報告などがあるが, これらの成果はいずれも定性的あるいは半定量的なものであり, 歯肉のGAGの定量報告としては多和ら8)9)のイヌ歯肉での報告があるにすぎない. 一方, 歯周病と歯肉のGAGの動態との関係についてもいくつかの報告があるが, 3)10-13)歯肉では材料の制限が伴うため, これに関してはなお一定した見解は得られていない. 歯周病時の歯肉のGAGの量的および質的変動を明らかにすることは, 歯周病の病因を解明するうえの重要な研究課題である. われわれは, まず基礎研究として歯肉のGAGの各成分の比率およびそれらの諸性質を検討することを目的とし, ブタの歯肉を材料とし, 以下の実験を行ったのでそれらの成果について報告する.
ISSN:0916-572X