本邦剖検例における皮膚筋炎と悪性腫瘍の合併について
皮膚筋炎と悪性腫瘍の合併頻度が高いことが, 各種の統計的報告によって明らかにされてきたが, 本邦剖検例による集計はなされていない. 今回, 1958年から1973年までの16年間に, 日本病理学会剖検輯報に報告された, 皮膚筋炎および多発性筋炎について検索したので報告する. 16年間で皮膚筋炎155例, うち悪性腫瘍合併53例(34.2%), 多発性筋炎50例, うち同合併5例(10.0%), 両者合計205例, うち同合併58例(28.3%)であった. ちなみに全身性強皮症は234例中13例(5.6%)である. 悪性腫瘍の内訳は, 表1に示す如く, 胃癌, 肺癌, 食道癌などの順にたり, 胃...
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Veröffentlicht in: | 結合組織 1976, Vol.8 (3), p.170-171 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 皮膚筋炎と悪性腫瘍の合併頻度が高いことが, 各種の統計的報告によって明らかにされてきたが, 本邦剖検例による集計はなされていない. 今回, 1958年から1973年までの16年間に, 日本病理学会剖検輯報に報告された, 皮膚筋炎および多発性筋炎について検索したので報告する. 16年間で皮膚筋炎155例, うち悪性腫瘍合併53例(34.2%), 多発性筋炎50例, うち同合併5例(10.0%), 両者合計205例, うち同合併58例(28.3%)であった. ちなみに全身性強皮症は234例中13例(5.6%)である. 悪性腫瘍の内訳は, 表1に示す如く, 胃癌, 肺癌, 食道癌などの順にたり, 胃癌は41.5%にあたり, その実数としては極めて多いが, 本邦における胃癌剖検例が圧倒的に多いことから, その特異性を強調することはできない. その他全身諸臓器の癌腫であって, 肉腫他の腫瘍は少い. 又, 男性にやや多いが, 有意の差とは言えない. これら58例の合併例を, 剖検記録と一部組織標本で検討した結果が, 表2に示されている. すなわち, 死亡時年齢が平均男59.8歳, 女54.1歳で, 40歳以上の例が88%に達する. いわゆる癌年齢である. 臨床記録から, その発症が悪性腫瘍に先行すると推定されるもの75.6%であるが, 少数例を除いて, 本当の腫瘍発生時期はもっと早いことが考えられる. いずれの場合も相前後していることは, 両者の因果関係を裏付けるものである. 腫瘍完治後の症例がなく, 今後の検討課題である. |
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ISSN: | 0916-572X |