Aggressive fibromatosisより樹立された線維芽細胞株(AgF-1)の諸特性について

Aggressive firomatosisは, 組織学的には良性であるにも拘らず, 臨床的には, 再発の繰返し, 著しい局所浸潤傾向などの「局所悪性」を示す, 特異な筋肉の線維性腫瘍である. 今回, 47歳男子の左上腕に生じ, 臨床的・病理組織学的に本症と診断された腫瘍組織から線維芽細胞を分離培養することに成功した. 現在, 第13代, 初代培養後241日に達している. この樹立細胞株(AgF-1)の特性について, 形態学的並びに生化学的に検討した. Stationary phaseに達した培養細胞は, 鍍銀染色では, 細胞外に明らかに線維を形成しており, alcian blue染色では,...

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Veröffentlicht in:結合組織 1976, Vol.8 (3), p.153-153
Hauptverfasser: 井上邦雄, 冨士森良輔, 四方実彦, 真田浩幸, 森英吾, 伊藤一忠, 平岡真寛, 竹田俊男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Aggressive firomatosisは, 組織学的には良性であるにも拘らず, 臨床的には, 再発の繰返し, 著しい局所浸潤傾向などの「局所悪性」を示す, 特異な筋肉の線維性腫瘍である. 今回, 47歳男子の左上腕に生じ, 臨床的・病理組織学的に本症と診断された腫瘍組織から線維芽細胞を分離培養することに成功した. 現在, 第13代, 初代培養後241日に達している. この樹立細胞株(AgF-1)の特性について, 形態学的並びに生化学的に検討した. Stationary phaseに達した培養細胞は, 鍍銀染色では, 細胞外に明らかに線維を形成しており, alcian blue染色では, 細胞質内に弱陽性物質の存在が認められた. また電子顕微鏡的検索により, 細胞外に形成されたcollagenのmicrofibrilと思われる構造が確認された. 染色体数は, 第10代目の培養細胞では, diploidのものが大半を占めていたが, tetraploidのものも存在した, 腫瘍組織中の酸性ムコ多糖の分析によると, ヒアルロン酸(HA)24.5%, コンドロイチン硫酸A, C(ChS-A, C)23.O%, デルマタン硫酸(DS)52.5%の存在が認められ, また, 第12代のstationary phaseに達した後7日間に採取した培養液中には, HA85.4%, ChS-A, C7.O%, DS7.6%の存在が確認された. 一方, 培養細胞のコラーゲン合成能をみるために, juva&Prockop(1966)の方法に従い, ^^3 H-prolineの培養細胞への取り込みを測定したが, 特異的なコラーゲンヘの取り込みを確認した. 以上の様なAgF-1の諸特性はaggressive fibromatosisの臨床的性格を必ずしも裏付けるものではないが, 今後, controlとなるべき正常組織, 腫瘍その他の結合織病変などの培養細胞と比較検討していきたい.
ISSN:0916-572X