Paraquat(1,1-dimethyl-4, 4, -dipyridium dichloride)による肺線維症1例とラット実験肺線維症について
農薬Paraquat(1, 1, -dimethyl-4, 4, -dipyridium dichloride)は, 現在除草剤として広く用いられている. 1966年BullivantによってParaquat誤飲による事故死の2例が報告されて以来, 植物に対する毒性と共に, 動物およびヒトに対する毒性に関する研究が進められて来た. 自験例1例(公立気仙沼病院)について報告し, 更に実験肺線維症のchemical inducerとしてのParaquatの性質に着目しラットを用いた実験成績について報告する. 症例は44才の男で酩酊の上, Paraquatの20%溶液を盃2杯程誤飲した. 胃洗濯を受...
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Veröffentlicht in: | 結合組織 1975, Vol.7 (3), p.249-249 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 農薬Paraquat(1, 1, -dimethyl-4, 4, -dipyridium dichloride)は, 現在除草剤として広く用いられている. 1966年BullivantによってParaquat誤飲による事故死の2例が報告されて以来, 植物に対する毒性と共に, 動物およびヒトに対する毒性に関する研究が進められて来た. 自験例1例(公立気仙沼病院)について報告し, 更に実験肺線維症のchemical inducerとしてのParaquatの性質に着目しラットを用いた実験成績について報告する. 症例は44才の男で酩酊の上, Paraquatの20%溶液を盃2杯程誤飲した. 胃洗濯を受けたが, 2日後から, 乏尿, 尿蛋白, 血清クレアチニン値, ウレア-Nの上昇, 血清トランスアミナーゼ値の上昇など, 腎および肝機能障害が出現した. 輸液, 人工透析, 副腎皮質ホルモン投与により腎・肝機能障害は回復したが, 誤飲後1週目頃から呼吸困難, チアノーゼが出現, PaO_2 の低下, PaCO_2 の上昇をみ, 胸部レ線写真上, 間質性肺炎を思はせる陰影を認めるに至った. その後, 症状および胸部レ線像の増悪をみ, 誤飲後40日目に呼吸機能不全により死亡した. 剖検材料の組織学的検索の結果, 病巣部位では, 正常の肺胞構造は殆んど失はれ, 間質に著明な結合織の増生を認めた. 体重100~120gの雄呑竜ラットにParaquat 25mg/kgを腹腔内1回投与し, 経時的に肺内核酸およびhydroxyproline含量の測定を行った. 全肺あたりのDNA含量は処理後2日目で対照の2倍弱に, 8日目でも2倍強の増加に止まるのに対し, RNA含量は2日目で2倍に, 6日目で3倍強に, 8日目で4.5倍に増加する. 全肺collagen量は対照の7.59mgに対し, 4日目で11.8mg, 7日目で14.32mgに増加した. 組織学的には肺胞上皮細胞の膨化損傷があり, 間質にはmacrophageの滲出とfibroblastの増加が観察された. 電顕的にfibroblastの周囲には無定型物質がみられ, その中にcollagen線維の形成が観察された. fibroblast増加部位には屡々mast cellがみられ, 結合織増生への関与が示唆された. |
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ISSN: | 0916-572X |