RA患者における末梢循環病態の検討
“朝のこわばり”(以下MS)は, 慢性関節リウマチ(以下RA)の症状のうちでもっとも一般的なものである. しかし, その病態に関する研究は意外に少なく, 発生機序についてはなお不明であるといっても過言ではない. そこで私どもは, MS病態を調査すべく指尖容積脈波を測定し, その成績と血沈, CRP, リウマチ因子, 血清蛋白像, 免疫グロブリン, クリオグロブリン, Raynaud現象, 血圧などとの関係につき検討を試み, さらに末鞘血管拡張剤使用前後におけるMSの変化および脈波上の変動についても検討を加えた. 対象は, 岡山大学第3内科リウマチ外来に通院中もくしは入院中のdefinite以上...
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Veröffentlicht in: | 結合組織 1974, Vol.6 (3), p.259-259 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | “朝のこわばり”(以下MS)は, 慢性関節リウマチ(以下RA)の症状のうちでもっとも一般的なものである. しかし, その病態に関する研究は意外に少なく, 発生機序についてはなお不明であるといっても過言ではない. そこで私どもは, MS病態を調査すべく指尖容積脈波を測定し, その成績と血沈, CRP, リウマチ因子, 血清蛋白像, 免疫グロブリン, クリオグロブリン, Raynaud現象, 血圧などとの関係につき検討を試み, さらに末鞘血管拡張剤使用前後におけるMSの変化および脈波上の変動についても検討を加えた. 対象は, 岡山大学第3内科リウマチ外来に通院中もくしは入院中のdefinite以上のRA患者53人である. 検査方法は, 脈波は心電脈波計TKP 201(興和新薬社製)を用い, 施行時室温は23±1℃に保ち被検者を臥位にて15分間安静にした後に両側全手指にて測定した. クリオグロブリンは, micro-ouchterlony法を用いた. 結果は, 対象患者のMSの頻度は83%で部位別では両側全手指にMSのある例が多かった. 脈波パターンは, 単相波および末鞘性プラトー波が多く認められた. MSの有無と波高, 隆起時間, 伝達時間の間にまた, 血沈, CRP, リウマチ因子などとの間にも一定の関係をみることはできなかった. しかし, 高γ-グロブリン血症は, MS(+)群に多い傾向がみられ, またクリオグロブリンは23%に陽性ですべてIgGであり, MS(+)群にクリオグロブリン陽性例が多い傾向を示しさらにIgGの量的増加の傾向がみられた. 次に, 33.4%に高血圧がみられ, その高血圧例のうち52.9%が単相波を示した. 同一症例でMS(+)時と(-)時で明らかに波高の増加がみられ, 脈波パターンの改善がみられる例があった. 末梢血管拡張剤の投与にてMSの持続時間の短縮例が55%にみられ, その中には脈波上の改善がみられる例があった. 以上よりMSの発症には血流障害が一因として考えられるが, 今後さらに種々の検討を重ねる必要があろう. |
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ISSN: | 0916-572X |