皮膚疾患と酸性ムコ多糖異常
酸性ムコ多糖は皮膚でも礎質の重要な構成成分であるので, その代謝異常は種々の疾患の発病と関係する. そのなかで, 本文では酸性ムコ多糖の沈着が直接疾患の発症につながると考えられる下記皮膚疾患のムコ多糖およびその検討方法について, 教室の成績を加えながら, 最近の知見に言及してみたい. 1. 皮膚ムチノーシス a)限局性粘液水腫 酸性ムコ多糖(AMPS)が沈着する皮膚疾患として昔から知られているものに粘液水腫があり, その代表的疾患に限局性粘液水腫(myxedema circumscriptum pretibiale)がある(図1). 本症はBasedow病疾患にみられ, 臨床的に両側下腿から足...
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Veröffentlicht in: | 結合組織 1973, Vol.5 (2), p.3-13 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 酸性ムコ多糖は皮膚でも礎質の重要な構成成分であるので, その代謝異常は種々の疾患の発病と関係する. そのなかで, 本文では酸性ムコ多糖の沈着が直接疾患の発症につながると考えられる下記皮膚疾患のムコ多糖およびその検討方法について, 教室の成績を加えながら, 最近の知見に言及してみたい. 1. 皮膚ムチノーシス a)限局性粘液水腫 酸性ムコ多糖(AMPS)が沈着する皮膚疾患として昔から知られているものに粘液水腫があり, その代表的疾患に限局性粘液水腫(myxedema circumscriptum pretibiale)がある(図1). 本症はBasedow病疾患にみられ, 臨床的に両側下腿から足背にかけて結節状の腫脹をみる. 沈着ムコ多糖は組織化学的, 生化学的にみて主としてヒアルロン酸の沈着と考えられる. 発生病理についてはなお不明であるが, 甲状腺組織に対する一種の自己抗体で遷延的に甲状腺ホルモンの分泌を促進するグロブリンである, long-acting thyroid stimulator(LATS)が, 本症を合併するBasedow病患者で特に上昇しているという報告1)がある. ホルモン代謝異常がムコ多糖異常に影響を及ぼす症例として, 今後検討される必要があろう. |
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ISSN: | 0916-572X |