I-cell disease由来の一浮遊細胞株について
I-cell diseaseは, 1967年LeroyらによりHurler症候群類似疾患として報告され, 以来10数例の報告をみるが, 私達も経験し患児の骨髄穿刺液を培養したところ浮遊細胞株が樹立された. 患児は2才男子, 発育障害, 骨形成不全, 歯ぎん肥厚, 肝腫大, 関節の伸展障害, 培養皮膚fibroblastに粗大顆粒を認め, 更に末梢および骨髄像で空胞のある細胞を認め, 典型的なI-cell diseaseであった. 培養は, 骨髄穿刺液を材料としRPML1640に20%の割合でFBSを加え, KM 100γ/ml添加して培養液とし, 中角瓶を用いて37℃ incubator中にて...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 結合組織 1972, Vol.4 (3), p.70-71 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | I-cell diseaseは, 1967年LeroyらによりHurler症候群類似疾患として報告され, 以来10数例の報告をみるが, 私達も経験し患児の骨髄穿刺液を培養したところ浮遊細胞株が樹立された. 患児は2才男子, 発育障害, 骨形成不全, 歯ぎん肥厚, 肝腫大, 関節の伸展障害, 培養皮膚fibroblastに粗大顆粒を認め, 更に末梢および骨髄像で空胞のある細胞を認め, 典型的なI-cell diseaseであった. 培養は, 骨髄穿刺液を材料としRPML1640に20%の割合でFBSを加え, KM 100γ/ml添加して培養液とし, 中角瓶を用いて37℃ incubator中にて静置培養. 週2回培養液交換を行なった. 植込み後63日目に浮遊細胞の樹立をみたが, 位相差像では円形ないしhand mirror様を呈し, Giemsa標本では, 核は円形ないし楕円形, 核小体は2~3コあったが, 特徴的な事は, 患者の末梢および骨髄像でみられた空胞のある細胞と同様の空胞がみられたことである. PAS染色は, 強陽性, Sudan III染色で原形質は陽性に染まった. 墨粒貪食能は陰性, toluidine blue染色は, 判定保留である. 電顕では, 小胞体, ゴルジ装置に特別の事はなかった. 電顕で特徴的な事は, 原形質内に一層の限界膜でつつまれた大小様々の形態を示すelectron denseなinclusion bodyが認められた事であった. 樹立細胞株の酵素活性は, β-galactosidase, β glucosidase, N-acetyl-β-galactosaminidase, N-acetyl-β-glucosidase, α-mannosidaseにつき測定したが, 対照のBT-I株に比し低値であった. H_2 S^35 O_4 の細胞内取り込みは, BT-I株と差を認めなかった. 染色体分析結果は, 46, XYで異常なかった. 以上より樹立細胞株はI-cell diseaseの代謝障害を反映しているものと思いIC株と命名した. 又AMPSについては今後の検索によるが, 糖質, 脂質に関係する物質の代謝障害を示唆しているのではなかろうか. 今後この方面の検索も行なう予定である. 対照として用いたBT-I株をいただいた国立がんセンター研究所大星章一博士に深く感謝します. |
---|---|
ISSN: | 0916-572X |