統合医療の教育に関するアンケート調査 医師・看護師・鍼灸師・柔道整復師養成校について

[目的] メディカル, コ・メディカル系教育機関における統合医療(IM:Integrative Medicine)の講義・実習などの有無, 内容などに関する研究報告は少ない. そこで, 統合医療に関するカリキュラムの実態を全国レベルで明らかにし, 統合医療の教育推進のためのカリキュラム改革の基礎的な資料を提供することを目的とした. [方法と結果] 2007年7月に医師, 看護師, 鍼灸師, 柔道整復師養成校に「統合医療に関するカリキュラム調査」を郵送し, 調査を依頼した. 回収率は35.8%～16.5%であった. 開講率は柔整校46.2%, 医学校44.0%が多く, 次に鍼灸校31.0%, 看護校26.0%の順であった. 1年間の授業コマ数では医学校と看護校ではほとんどが15コマ以下であり, それに比べて鍼灸校と柔整校は比較的コマ数が多くあった. 今後, 統合医療の分野の開講を予定しているのは, 鍼灸校31.0%, 柔整校23.1%, 医学校16.0%, 看護校12.0%であった. [考察および結語] 今回の調査より, 統合医療に関する教育は充分に普及しているとは言えない状況であった. 今後, 治療および健康保持・健康増進・病気予防のための医療・福祉・保健などの機関, 施設, 制度などにおける広い枠組みを包括できる多次元的な統合医療システムを構築することが必要になってきた. そのために, これから取り組んでいかなければならない問題も数多くあるが, 特に医療教育システムを改革することが重要であると思われる.