遺伝と適応

ヒト (Homo sapiens) は, 数十万年前にアフリカ大陸で誕生したのち, 過去数万年という非常に短い時間で地球上のありとあらゆる地域へ進出した. この大拡散の成功には, 文化的な適応と遺伝的 (生物学的) な適応の両方が貢献していたと考えられる. ヒトがその拡散の過程で経験した適応進化の痕跡は, 現代人のゲノム多様性情報に特徴的なパターンとして残されている. さらに, 過去の適応進化に寄与した多型は, 現代人の適応性にも寄与していると考えられている. ヒトの適応性の実態を知るには, その基盤となる遺伝的素因についての理解が不可欠である. ヒトの適応性に寄与する遺伝素因の探索は, 生理...

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Veröffentlicht in:日本生理人類学会誌 2018, Vol.23(4), pp.189-191
1. Verfasser: 中山, 一大
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:ヒト (Homo sapiens) は, 数十万年前にアフリカ大陸で誕生したのち, 過去数万年という非常に短い時間で地球上のありとあらゆる地域へ進出した. この大拡散の成功には, 文化的な適応と遺伝的 (生物学的) な適応の両方が貢献していたと考えられる. ヒトがその拡散の過程で経験した適応進化の痕跡は, 現代人のゲノム多様性情報に特徴的なパターンとして残されている. さらに, 過去の適応進化に寄与した多型は, 現代人の適応性にも寄与していると考えられている. ヒトの適応性の実態を知るには, その基盤となる遺伝的素因についての理解が不可欠である. ヒトの適応性に寄与する遺伝素因の探索は, 生理人類学分野における極めて重大かつ挑戦的な研究課題の一つである. 寒冷環境や低圧低酸素環境などへの環境適応性に寄与する遺伝素因を探索するための直接的な方法の一つが, 医学研究で盛んに用いられている関連解析である.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.23.4_189