夏季日常生活下における温熱環境の性差および年齢差

「1. 緒言」ヒトは暑いと感じると衣服を脱いだりエアコンディショナーをつけるなど体温上昇を避けるための行動をとる (行動性体温調節反応). 一方で, 体温が上昇するとそれを下げるために皮膚血管の拡張や発汗などの熱放散反応が起こる (自律性体温調節反応). この自律性体温調節反応, 特に発汗能力は発育・発達に伴い増強され, 思春期を境に性差が生じ, 加齢により低下する. また, 生活環境によっても修飾されるため, 科学技術の急速な発展と快適環境の追求に伴う生活環境の大きな変化が, 現在および将来においてヒトの発汗能力を脆弱化させるのではないかと懸念される. さらに近年, この脆弱化と高齢化, さ...

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Veröffentlicht in:日本生理人類学会誌 2017, Vol.22(3), pp.135-143
Hauptverfasser: 井上, 芳光, 坂東, 沙耶, 山崎, 彩佳, 戸谷, 真理子, 一之瀬, 智子, 上田, 博之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 緒言」ヒトは暑いと感じると衣服を脱いだりエアコンディショナーをつけるなど体温上昇を避けるための行動をとる (行動性体温調節反応). 一方で, 体温が上昇するとそれを下げるために皮膚血管の拡張や発汗などの熱放散反応が起こる (自律性体温調節反応). この自律性体温調節反応, 特に発汗能力は発育・発達に伴い増強され, 思春期を境に性差が生じ, 加齢により低下する. また, 生活環境によっても修飾されるため, 科学技術の急速な発展と快適環境の追求に伴う生活環境の大きな変化が, 現在および将来においてヒトの発汗能力を脆弱化させるのではないかと懸念される. さらに近年, この脆弱化と高齢化, さらには地球温暖化やヒートアイランド現象が加わり, 新たな「災害」とまでいわれる熱中症が高齢者で急増している. 平成22年には1745人が熱中症で死亡し, その79.3%が65歳以上の高齢者であった. このような状況下において, 日本体育協会, 環境省, 日本生気象学会がマニュアルや指針を作成して熱中症予防の啓発に努めている.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.22.3_135