聴覚マスキングが膝関節伸展筋力測定時の発声効果に与える影響

「I. 緒言」運動にともなう発声の機能的効果(以下, 発声効果)についての研究は, 猪飼とA.H Steinhausが肘関節屈曲筋力の反復測定における漸減的筋出力時において, 被験者自身が叫び声を発揮することで筋力が一時的に疲労前より高まると報告したことが始まりである. しかしながら, 最大筋力が増強するとの報告がある一方で, 変化しない, あるいは低下するとの報告もあり, 意見が分かれている状況である. 発声には, 大脳皮質から発声筋や呼気筋などを支配する髄節の運動ニューロンに対し, 下降性衝撃(Descending volleys)が伝導されることが必要である. この発声に関与する下降性衝...

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Veröffentlicht in:日本生理人類学会誌 2015/05/25, Vol.20(2), pp.111-114
Hauptverfasser: 古川, 勉寛, 藤原, 孝之, 上條, 正義
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」運動にともなう発声の機能的効果(以下, 発声効果)についての研究は, 猪飼とA.H Steinhausが肘関節屈曲筋力の反復測定における漸減的筋出力時において, 被験者自身が叫び声を発揮することで筋力が一時的に疲労前より高まると報告したことが始まりである. しかしながら, 最大筋力が増強するとの報告がある一方で, 変化しない, あるいは低下するとの報告もあり, 意見が分かれている状況である. 発声には, 大脳皮質から発声筋や呼気筋などを支配する髄節の運動ニューロンに対し, 下降性衝撃(Descending volleys)が伝導されることが必要である. この発声に関与する下降性衝撃と運動に関与する下降性衝撃が脊髄で促通現象を起こすことで, 筋出力が増強する可能性が示唆されている. 促通現象を引き起こす機序としては, 大脳皮質や脳幹からの抑制性刺激の減弱または促通性刺激の増強により, 発声出力のための下降性衝撃と握力発揮のための下降性衝撃の閾下縁が重複し, 空間的加重を起こすことが考えられる.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.20.2_111